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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.9 No.2 Summer 2004

2002年の米国における輸血を介したウエストナイルウイルスの伝播症例について

Pealer, L.N., Marfin, A.A., Petersen, L.R., et al.
Transmission of West Nile virus through blood trasfusion in the United States in 2002.
N. Engl. J. Med., 349:1236-1245, 2003.

 ウエストナイルウイルス(WNV)は蚊が媒介するフラビウイルスで、主として鳥類間で伝播する。人は付随的な宿主となる。人での感染症は1999年にニューヨークで発見されて以来、急速に拡散し、2002年には米国で4,200症例が報告された。WNV感染は無症候性や軽度な症状の患者の割合が高く、輸血を介した感染が懸念されたが、2002年8月に輸血によるWNV感染と疑われる症例が報告された。

 そこで、2002年8月28日から2003年4月15日にかけて、輸血後のWNV感染症と医師により診断され、政府機関に報告された症例について調査が行われた。患者の診療記録、発症前4週間の輸血歴、輸血前後の患者検体とドナーから提供された血液成分のWNV-RNAとIgM抗体、ドナーのその後の特異的IgMが検査された。

 輸血を介したWNV感染症の疑いのある患者は61例で、そのうち23例は輸血関連感染によると確定され(供血者がWNV血症者)、19例は否定され(供血者のその後のIgM陰性または受血者に感染の証拠なし)、他の19例は確定できなかった。23例のうち、12例は移植後や癌の易感染性患者であり、他の8人は70歳以上であった。受血者の移植患者の潜伏期間は平均13.5日であり、他の患者の10日より長かった。感染源の輸血成分は赤血球、血小板、新鮮凍結血漿であった。

 WNV血症と判明した16人の供血者が、23人の受血者に感染させていた。この供血者のうち9人は供血前後に症状があり、5人は無症候性であり、2人は確認できなかった。WNV血症を有する供血者14人の発熱、発疹、眼痛の割合は、非感染供血者654人より多かった。16人の供血者すべては供血時のWNV量は少なく、特異的IgM抗体は陰性であった。供血者に最近1~2週間の頭痛を伴う発熱の既往歴の問診を新たに行うとともに、核酸を用いた検査にてスクリーニングすることにより、輸血後感染の危険性が減少するかもしれない。

(訳:豊口禎子)

Carlisle Vol.9 No.2 p8-11 Summer 2004

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