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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.9 No.2 Summer 2004

積極的なサーベイランスはバンコマイシン耐性腸球菌による菌血症の発生を減少させる

Price, C.S., Paule, S., Noskin, G.A., et al.
Active surveillance reduces the incidence of Vancomycin-Resistant Enterococcal Bacteremia.
Clinical Infectious Diseases, 37:921-928, 2003.

 バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)による感染の危険がある患者に対する積極的なサーベイランスの効果を検討するとともに、2カ所の類似する近隣の病院[病院A:ベッド数700床、68床のICU、年間35,000人が入院。病院B:ベッド数683床、96床のICU、年間34,000人が入院。いずれも大都市地域近郊にある第三次医療を行う施設]におけるVRE菌血症の発生率およびVREのクローン化の程度を比較した。病院AはVREが直腸内に定着した患者に対するスクリーニングを日常的に実施していなかったが、病院Bでは高リスク患者のスクリーニングを積極的に実施していた。最初に血液からVREを分離したときから、それぞれの施設で回収した試料について回顧的な観察を6年以上にわたって実施した。すなわち、病院Aでは1990年11月より1996年11月まで、また病院Bでは1992年6月より1998年6月まで本研究を実施した。分子型はパルスフィールドゲル電気泳動法により検討し、また両病院間でのデータは統計解析により評価した。

 病院Bにおける平均入院日数は病院Aよりも有意に短かった(p≦0.01)が、入院とVREの最初の血液培養陽性との間の平均時間はほぼ等しかった。

 6年間の検討で、病院Aでは218人の患者のうち182人の血液からVREが分離された。分離株の内訳は10株のEnterococcus faecium、5種類のEnterococcus faecalisおよび9種類の他の腸球菌であった。一方、病院Bでは72人のうち62人の血液からVREが認められた。分離株の内訳は22株のE.faecium、8株のE.faecalisおよび1株の腸球菌であった。VREによる菌血症の発生率は病院Aでは病院Bに比べ2.1倍多く、病院Aで分離されたものの大多数はクローン的に関連していた。すなわち、4つのクローンはVREによる菌血症に罹患している患者の75%以上の感染に対応し、そして30%の患者からの分離株は最も一般的に分離される株であった。病院Bにおける4つの最も一般的なクローンは37%の患者の感染に対応し、14.5%の患者からの分離株は最も一般的なクローンに由来した。

 結論として、基本的なことではあるが、VREの危険要因である患者の日常のスクリーニングならびにVREが定着した患者の速やかな隔離策がVREの水平伝播を防ぎ、VREによる菌血症の発生率の低下および相互に関連のない多クローン集合体の増加につながることを強調したい。

(訳:坂上吉一)

Carlisle Vol.9 No.2 p8-11 Summer 2004

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