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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.10 No.3 Autumn 2005

血液透析におけるC型肝炎(HCV)感染の疫学上の変化:ヨーロッパの多施設試験

Jadoul, M., Poignet, J-L., Geddes, C., et al.
The changing epidemiology of hepatitis C virus(HCV)infection in haemodialysis:European multicentre study.
Nephrol. Dial. Transplant., 19:904-909, 2004.

血液透析患者における抗C型肝炎ウイルス抗体の高頻度の流行は、1990年代初期より知られるようになってきていた。その次の研究では、血液透析患者におけるC型肝炎ウイルスの転移メカニズムおよび予防が焦点となった。また、血液透析患者におけるC型肝炎の罹病率および死亡率も、その後の研究に少なからず影響を及ぼした。しかし、20年以上にわたって、C型肝炎の発生については、詳しい調査は実施されていなかった。

今回、ベルギー内にある15集団の全ての急性血液透析患者について血液透析の再開時期および18ヵ月毎の抗HCV抗体を調査した(なお、1991年5月および1992年11月はELISA 2で、そして2000年5月まではELISA 3で調査した)。1991年より1994年に抗HCV抗体陽性患者の流行が研究されていた(一つの国を除いて報告が出されている)8ヵ国の他のヨーロッパ諸国からの血液透析集団における全ての急性血液透析患者については、1999年に抗HCV抗体を試験した。

ベルギーの同齢集団では、抗HCV陽性の流行は1991年の13.5%から2000年の6.8%と有意に減少した(p<0.001、n=1710)。同時にフランスからの参加者(42%から30%)、スウェーデンからの参加者(16%から9%)およびイタリアからの参加者(28%から16%)においては、流行は減少した(p<0.05)。イギリスからの参加者では7%から3%(p=0.058)に、またハンガリーからの参加者では26%から15%(p=0.05)と減少傾向を示した。しかし、ドイツ(7%から6%)、スペイン(5%から12%)およびポーランド(42%から44%)からの参加者では変化が認められなかった。ベルギーの同齢集団では、血液透析の再開時における抗HCV陽性の流行は1991年から2000年で有意に変化しなかった。

血液透析における抗HCV陽性の流行は、大部分のヨーロッパの国からの参加者の集団において、過去20年間顕著に減少した。この減少結果をふまえて、血液透析における院内感染および職業的HCV感染のリスクを、より減少させるべきであると考える。このことにより血液透析患者および腎臓移植者の長期にわたる予後の改善に貢献する。

(訳:坂上吉一)

Carlisle Vol.10 No.3 p8-11 Autumn 2005

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