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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.10 No.4 Winter 2005

病院で獲得したメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症を予防するための病院入院時のMRSAキャリアのための全病院的な選択スクリーニングプログラムの効果

Wernits, M.H., Swidsinski, S., Weist, K., and Veit, S.K., et al.
Effectiveness of a hospital-wide selective screening programme for methicillin-resistant Staphylococcus aureus(MRSA)carriers at hospital admission to prevent hospital-acquired MRSA infections.
Clin. Microbiol. Infect., 11:457-465, 2005.

病院入院時のMRSA陽性患者の可能性をスクリーニングすることが、ドイツと国際的ガイドラインの中で推奨されている。この政策は、感染の流行時において院内感染起因菌であるMRSAの伝播頻度を減少させるのに効果的であることが示された。しかし、MRSAが定着した病棟における病院内で獲得したMRSA感染の減少に及ぼすスクリーニングの効果については、未だ詳細には報告されていない。

本研究では19カ月間に渡って、ドイツの中心部に位置する700床の急性治療病院において、限定した危険群の全病院的スクリーニングの効果について検討した。19カ月のコントロール期間(1999年9月1日~2001年3月31日)のコホート研究の中で、病院内で獲得したMRSA感染症の発生頻度をスクリーニング実施時(スクリーニング期間:2001年5月31日~2002年11月30日)および未実施時で比較検討した。コントロール期間においては、のべ36,118人の患者中で119人のMRSA陽性患者が発生し、そのうちの48人が病院内で獲得したMRSA感染であった。この頻度に基づいて、病院内で獲得したMRSA感染症の予測した全数(73.2;ハイリスクMRSA患者の期待数が22.3、非ハイリスクMRSA患者が50.9)がスクリーニング期間で計算されたが、期待数(38の病院内で獲得したMRSA感染症)のわずか52%が観察されたのみであった。すなわち、スクリーニングプログラムによりHA-MRSAの予測数の48%を阻止した。一方、スクリーニング期間では、のべ36,952人の患者中で205人のMRSA患者が認められた。MRSA患者の出現率はコントロール期間が3.3/1000、また、スクリーニング期間が5.6/1000で有意に減少した。

本研究より、MRSAが病院内で定着し、MRSA患者が増加している状況においてさえも、ガイドラインが推奨している予防的接触隔離操作を用いる、入院時におけるMRSAのキャリアである可能性を選択的にスクリーニングすることは、HA-MRSA-Is(病院内で獲得したMRSA)、特に血流感染および尿路感染を防止できるかも知れない。スクリーニングプログラムを最小の努力(全患者の1.5%のみをスクリーニングすることが必要)で成し遂げ、HA-MRSA-Iを防止する一つの効果的な衛生手段を推奨することができる。

(訳:坂上吉一)

Carlisle Vol.10 No.4 p8-10 Winter 2005

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