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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.10 No.4 Winter 2005

診断群分類(DRG)支払いの前後関係におけるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)のキャリアのための全病院的選択スクリーニングプログラムの費用分析

Wernits, M.H., Keck, S., Swidsinski, S., Schulz, S., and Veit, S.K.
Cost analysis of a hospital-wide selective screening programme for methicillin-resistant Staphylococcus aureus(MRSA)carriers in the context of diagnosis related groups(DRG)payment.
Clin. Microbiol. Infect., 11:466-471, 2005.

ここ数年、ドイツでMRSA感染が急増している。けれども、高頻度の発生でも適切な感染制御プログラムを実行することで、病棟における多剤耐性菌の蔓延防止対策の必要性がなくなる。デンマークでもMRSA発生率の増加が認められたが、スクリーニング法および抗生物質の適正使用後、MRSAの減少を認めた。入院するMRSAキャリアのスクリーニングは、病院で獲得するMRSA感染(HA-MRSA-I)の減少に効果的であるが、病棟におけるスクリーニング法の導入は、投資額および操作費用面で制限されるかも知れない。けれども、病院内での感染の頻度は病院に入院期間の延長および病院での入院費用の増大に相関する。

本研究の目的は、経験的データに基づいて、病院に入院するMRSAのキャリアの選択的スクリーニングプログラムの費用を計算すること、スクリーニング費用と診断群分類(DRG)支払いシステムの前後関係におけるHA-MRSA-Iを有する患者のための費用と歳入の差異およびスクリーニングプログラムによるHA-MRSA-Isの防止で節約できる費用を比較検討することであった。

今回、全病院的選択スクリーニングプログラムの費用を19カ月間分析した。この間、539人の入院患者をスクリーニングしたところ、111人がMRSA陽性患者であった。微生物学的費用(医療従事者および器材)および微生物学的結果が出るまでの2日間の予防的な接触隔離の費用に基づいて、539人の患者に対して25,241.51ユーロを消費した。費用はMRSAが陰性と判明した患者で39.96ユーロ、MRSA陽性と判明した患者では82.33ユーロと2倍以上であった。ドイツにおけるDRGの支払いシステムのもとで、HA-MRSA-Iによる病院での入院期間の延長費用は5,705.75ユーロであり、HA-MRSA-Iに伴う計算された平均費用収益では補填できない。スクリーニングプログラムは予測されるHA-MRSA-Is(35.2人の患者が感染)の48%を予防でき、予測として200,782.73ユーロを節約できた。

スクリーニング費用後、年間で1,110,236.56ユーロを総金額として節約できた。異なるスクリーニング頻度およびMRSA発生率での損益の感受性分析より、スクリーニングプログラムはMRSA発生率が低い時は費用の節約が効果的になる。このことより、MRSA問題がある大多数の病院に本手法の導入を推奨できる。

(訳:坂上吉一)

Carlisle Vol.10 No.4 p8-10 Winter 2005

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