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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.11 No.1 Spring 2006

消化器内視鏡はC型肝炎ウイルスの伝播の重大なリスク要因ではない

Ciancio, A., Manzini, P., Castagno, F., et al.
Digestive Endoscopy Is Not a Major Risk Factor for Transmitting Hepatitis C Virus.
Ann. Intern. Med., 142:903-909, 2005.

C型肝炎ウイルス(HCV)の伝播に消化器内視鏡が影響するかどうかについては論争中である。内視鏡を実施しているコホートの患者および血液ドナーのコホートにおいて、HCV感染の発生率を比較することにより、HCVの伝播に消化器内視鏡が関与するかどうかを評価することを目的とし、本研究を実施した。

推奨されるコホート研究を以下の施設で実施した。すなわち、内視鏡コホートは、北イタリアの3施設(1箇所は二次的リファレンスセンター、2箇所は終末リファレンスセンター)を対象とした。一方、血液提供コホートは、トリノとピネロにある2箇所の施設で、1999年1月より2002年12月まで、HCV陰性の51,645人を対象とし、実施した。

潜在的に暴露されたコホートは、3箇所の内視鏡治療施設に連続して入っている9,188人の外来患者から構成されていた。9,008人のHCV抗体(抗HCV)陰性患者のうち、8,260人(92%)は内視鏡の実施後6カ月間は抗HCVを再試験した。

内視鏡を実施している8,260人全員で操作後6カ月間は、抗HCVは陰性のままであった(1,000人あたりのリスクは0〔95%信頼区間は0-0.465〕)。特に以前にHCVキャリアーが使用していた同じ内視鏡を使用した912人の患者は、いずれも抗HCV血清変換を示した(1,000人あたりのリスクは0〔95%信頼区間は0-4.195〕)。4人の血液ドナーは抗HCV RNAが陽性になった(平均追跡調査は2.49年;1,000人の患者で年間0.042例〔信頼区間、1,000人で1年あたり0.011-0.107〕)。なお、内視鏡を実施しているコホートでは、患者748人(8.3%)で追跡調査が不可能になった。

消化器内視鏡装置の再操作性および感染制御手段については、この20年間で激変した。1995年に世界中で適用できるガイドラインが出された。内視鏡を通したHCVの伝播を取り扱った報告を注意深く分析したとき、不適切な内視鏡の洗浄はHCVの伝播の可能性があるが、消化器内視鏡は現行の洗浄並びに消毒のための国際ガイドラインに従い消毒したとき、HCV感染の伝播に関与しないことが示唆される。

(訳:坂上吉一)

Carlisle Vol.11 No.1 p12-14 Spring 2006

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