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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.11 No.3 Autumn 2006

透析室におけるA. xylosoxidans亜型xylosoxidansによる長期間施行中心静脈カテーテル関連のアウトブレイク

Tena, D., Carranza, R., Barbera, J. R., et al.
Outbreak of long-term intravascular catheter-related bacteremia due to Achromobacter xylosoxidans subspecies xylosoxidans in a hemodialysis unit.
Eur. J. Clin. Microbiol. Infect. Dis., 24:727-732, 2005.

Achromobacter xylosoxidansは水系環境に存在し、菌血症、心内膜炎、髄膜炎、肺炎などの起因菌となる。今回、長期間留置カテーテル患者で本菌による感染例を経験したので報告する。

スペインのアルカザール・サン・ジャンにあるラ・マンチャセントロ二次医療病院は、250床を有し、8つの透析室があり、慢性腎不全の患者が入院・外来で約50人いる。2000年10月14日~28日までに4人の外来患者が血液透析中に発熱を呈した。いずれも長期間の中心静脈カテーテルを施行しており、血液培養の結果、カテーテルと末梢血液からA. xylosoxidansが検出された。そこで、カテーテル関連の菌血症を疑い調査した。カテーテル挿入時の皮膚の消毒には、2.5%クロルヘキシジン(CHG)が使用され、その噴霧器の一つから分離されたA. xylosoxidansはアウトブレイク患者の血液から分離されたA. xylosoxidansと同一であった。最初の患者は、末梢血液からA. xylosoxidansが分離され、レボフロキサシン静注でも高熱が下がらず、4日目にカテーテルを抜去した。その他の患者3名は、カテーテルと末梢血液からA. xylosoxidansが分離されたが、抗菌薬投与2~3日後に解熱したのでカテーテルは抜去しなかった。その3名には、レボフロキサシン静注とST合剤内服に加え、ヘパリン添加レボフロキサシンでのロック療法を14日間実施した。抗菌薬の投与5~10日後、血液培養はいずれの患者も陰性となり回復した。汚染した噴霧器を使用禁止としたことで、アウトブレイクは終息した。噴霧器の一つと3名の患者から分離されたA. xylosoxidansは、パルスフィールド電気泳動法によってDNAタイプが同一であると同定された。また、他の1名の患者から分離されたA. xylosoxidansのDNAパターンもアウトブレイク株と類似していたため、カテーテル関連菌血症に関わったものと考えられた。

今回のアウトブレイクは、A. xylosoxidansによる中心静脈カテーテル関連菌血症であり、原因が2.5%CHGの噴霧器に起因すると考えられた。また、長期カテーテル留置関連感染の場合、抜去せずに抗菌薬の全身療法とロック療法の併用が有用であることが示唆された。

(訳:白石 正)

Carlisle Vol.11 No.3 p8-10 Autumn 2006

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