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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.11 No.3 Autumn 2006

A型インフルエンザ感染の処置の間でのオセルタミビル(タミフル)耐性

de Jong, M. D., Thanh, T. T., and Khank, T. H. et al.
Oseltamivir Resistance during Treatment of Influenza A(H5N1)Infection.
New Engl. J. Med., 353:2667-2672, 2005.

オセルタミビルを使用した処置の間に、オセルタミビル(タミフル)に対する高度耐性を獲得したノイラミニダーゼにおけるアミノ酸置換を有するA型インフルエンザ(H5N1)を、8人のベトナム人の患者のうち2人より分離した。1人の患者への処置は、極めて迅速に行われたにもかかわらず、患者は2名ともA型インフルエンザ(H5N1)ウイルス感染で死亡した。生存した2名の患者は、処置の間に効果が認められ、ウイルス負荷が非検出レベルにまで急激に低下した。

A型インフルエンザウイルス(H5N1)感染を伴う大部分の患者における症例で報告されているように、インフルエンザ症がある程度進行した過程で、オセルタミビルを使用するのは、インフルエンザに対する処置としては最適でないかもしれない。けれども、抗ウイルス処理は、ウイルスの複製が進行しているとき、依然として有益であることが期待できる。このことは現行のシリーズにおいて4人の生存者で不検出レベルにまでウイルス負荷が急激に低下することにより示唆される。逆にA型インフルエンザウイルスは、全処置を受けた後に感染で死亡した3人の患者および喉の試料から分離されたオセルタミビル耐性ウイルスを有した2人の患者において、処置の末期においても依然として検出された。

繰り返しになるが、我々の観察結果より、少なくともA型インフルエンザ(H5N1)ウイルス感染に伴う数人の患者において、オセルタミビルの推奨投与量による処理では、ウイルスの複製を不完全に抑えることが示唆された。また、進行する感染を許す不完全な制圧は、薬剤耐性を誘導する機会を与えるものと考えられる。なお、マウスによる研究結果から、オセルタミビルにより不適切なウイルス制圧をもたらすかも知れないことが示唆される。そして、下痢を伴う重病患者においてファーマコキネティクスが変化することから、より良い改良が望まれる。そして、オセルタミビル耐性インフルエンザウイルスに対して有効と考えられる他の抗ウイルス薬を、A型インフルエンザ(H5N1)ウイルス感染の処置手段に加えることを考慮するべきである。

(訳:坂上吉一)

Carlisle Vol.11 No.3 p8-10 Autumn 2006

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