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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.11 No.4 Winter 2007

臨床分離ストレプトコッカス・アガラクティアに対する塩化ベンザルコニウムのin vitroにおける抗菌活性

Mosca, A., Russo, F., Miragliotta, G.
In vitro antimicrobial activity of benzalkonium chloride against clinical isolates of Streptococcus agalactiae.
J. Antimicrob. Chemother., 57:566-568, 2006.

ストレプトコッカス・アガラクティア(B群ストレプトコッカス)による細菌感染は、新生児における罹患率および死亡率が高い原因菌と認識されている。また、B群ストレプトコッカスによる菌血症は、生命を脅かす合併症を併発する危険性があり、ここ十年以上にわたって取り上げられている。現在、出産期の危険な母体に対して抗生物質による予防処置が講じられているにもかかわらず、B型ストレプトコッカスは、依然として新生児における重要な罹病率および死亡率の原因である。抗生物質の投与時によく知られている副作用に加えて、ペニシリンにアレルギーを示す妊婦に推奨される抗生物質のエリスロマイシンおよびクリンダマイシンに対する耐性が増大し、このように不適切な予防措置の可能性についての関心が高まった。この経緯を踏まえ、我々は膣感染の局所処置のための抗菌薬(消毒剤)として適用されていた塩化ベンザルコニウムを使用し、B型ストレプトコッカスに対する抗菌活性を評価した。

妊婦の膣から分離した52株のB型ストレプトコッカスを試験に供した。B型ストレプトコッカスを阻止するために、ペニシリン、クリンダマイシン、バンコマイシン、クロラムフェニコールおよびテトラサイクリンと同様に塩化ベンザルコニウムの抗菌効果を、マクロ液体希釈法および微量液体希釈法を使用し評価した。

全てのB型ストレプトコッカスはペニシリン、バンコマイシンおよびクロラムフェニコールに対して感受性であったが、52株のうちの40株(77%)はテトラサイクリンに、10株(19.2%)はエリスロマイシンに、また12株(23%)はクリンダマイシンに耐性であった。一方、B型ストレプトコッカスに対する塩化ベンザルコニウムのMICの範囲は0.39~6.25mg/L、また、MBCの範囲は0.78~12.5mg/Lであった。このことより、塩化ベンザルコニウムは低濃度での適用時のみでなく、通常の抗生物質の適用濃度(MIC90=3.12mg/L)においても、B型ストレプトコッカスに対して増殖阻止または殺菌活性を有していた。

以上のことより、塩化ベンザルコニウムは、局所適用により出産以前の妊婦における膣でのB型ストレプトコッカスの定着を減らすのに有用な手段であるかも知れない。

(訳:坂上吉一)

Carlisle Vol.11 No.4 p8-10 Winter 2007

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