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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.12 No.2 Summer 2007

全血献血者におけるHIV、HCVおよびHBVのためのNATのコスト効果

Jackson BR, Busch MP, Stramer SL, et al.
The cost-effectiveness of NAT for HIV, HCV, and HBV in whole-blood donations.
TRANSFUSION 2003; 43: 721-729.

輸血用医薬品は過去20年間に、主にHIVおよびHCVの伝播の脅威に対する対応面で大きく変化した。これらの変化のうちの若干のものは、より厳しい血液提供者へのリスク要因のスクリーニング、拡大する提供試験およびよりハードルが高くなったFDA(米国医薬品食品局)の監視体制を含んでいる。これらの努力の結果、輸血によるウイルス感染の伝播リスクは劇的に減少した。現代の血清学的スクリーニング法を用いて、HBVおよびHCVの伝播リスクは輸血の1/100,000単位以下と計算され、HIVのリスクは1/1,000,000単位と計算される。

血液提供による感染症の試験に汎用されるようになってきたNAT(核酸増幅試験)技術は、これらのリスクをゼロ近くまでに少なくすることを可能にした。けれどもNATは相当な費用を必要とする。ヘルスケアーでの出費(支出)に注目する合理的な公的政策は、限定した資源背景が必要である。ヘルスケアーの介入の価格と患者への利益を比較したことによる価格効果の分析は、非常に重要である。われわれは国家スケールにおけるこの新技術を実行した結果を評価するため、全血提供NATのコスト効果の分析を行った。

 今回、全血献血者におけるHIV、HCVおよびHBVのためのNATの限界のコスト効果を、以前に公表したマルコフの決定モデル(このモデルはウイルス疾患に関係する輸血の歴史に基づいて作成されている)をもとに計算した。

全血献血者のNATは、アメリカ合衆国において、1年あたり155万ドル(minipool NAT)から428万ドル(単一献血者NAT)のコストとなることが期待され、そして、4~7HIV感染および56~59HCV感染を避ける。HBV NATの追加は1年あたり39万ドルから130万ドルの追加コストの際、9~37のHBV感染を避けることが期待されるだろう。全体として、NATは品質調整保証期間あたり4.7万ドルから11.2万ドル節約するだろう。不連続なHIVp24抗原およびHBc試験はこれを幾分か補うだろう。

全血NATのコスト効果はあまり良くない。大部分の他の医療機器で受け入れられているインラインでのコスト効果を得るために、試験コストを有意に減らす試みを実施することが必要である。

(訳:坂上吉一)

Carlisle Vol.12 No.2 p8-10 Summer 2007

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