Y's Square:病院感染、院内感染対策学術情報 > 感染対策学術情報 > 医療関連感染情報季刊誌より(Carlisle) > Review > 感染起因菌 > その他の微生物 > 家庭での洗濯時の腸内ウイルスの残存と次亜塩素酸ナトリウムの殺菌効果
Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.13 No.1 Spring 2008

家庭での洗濯時の腸内ウイルスの残存と次亜塩素酸ナトリウムの殺菌効果

Gerba, CP and Kennedy, D
Enteric virus survival during household laundering and impact of disinfection with sodium hypochlorite.
Appl Environ Microbiol 2007;73:4425-4428.

汚染された洗濯物を介したサルモネラ症、髄膜炎、Q熱、白癬の発生が報告されている。洗濯によるウイルスの残存に関する研究は、ワクシニアウイルスやポリオウイルスの報告しかない。本研究では、糞便から口への経路で感染するロタウイルス、A型肝炎ウイルスおよびアデノウイルスを用い、家庭用洗濯機での洗浄および乾燥機での乾燥後のウイルス残存率を調査した。 

方法は、58cm2の布をオートクレーブにかけ、ロタウイルス、A型肝炎ウイルスおよびアデノウイルスを各々接種した。接種した布を、3.2kgの滅菌した綿製Tシャツや下着、人工的に有機物を付着させた枕カバー(日常の洗濯と同様なpH、有機物付着にする)、滅菌した布と一緒に69L容量の洗濯機で洗濯した。洗剤は家庭用洗剤単独または家庭用洗剤と次亜塩素酸ナトリウム併用(5.25%次亜塩素酸ナトリウム236mL、洗濯水中遊離塩素濃度114~125mg/L)を用い、湿式洗濯機で洗濯した。洗濯方法は、水温20~23℃の水で12分間洗濯し、3分間すすいだ。洗濯後、回転式乾燥機(55℃)で28分間乾燥させた。洗剤単独で洗濯後、接種ウイルスは92~99%減少したが、ウイルスの不活性化作用は認められず、有意な量のウイルスが残存した。ロタウイルス、A型肝炎ウイルスに比べ、アデノウイルスが最も除菌されにくかった。滅菌された布への汚染はすべてのウイルスで高率でおきた。このことは、洗濯機内でウイルスによる汚染が起きることを示唆している。乾燥により、さらにウイルスの減少が得られたが、洗濯時ほどではなかった。洗剤と次亜塩素酸ナトリウム併用洗濯、乾燥後には、ウイルスの減少率は99.99%以上であった。

米国の普通の家庭で行う洗濯では、布に付着した腸内ウイルスや呼吸ウイルスを除去することはできず、次亜塩素酸ナトリウムを併用することにより、有意なウイルス減少効果が期待できる。

(訳:豊口禎子)

Carlisle Vol.13 No.1 p9-11 Spring 2008

関連サイト