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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.13 No.1 Spring 2008

アルコール製剤はどれくらい肌荒れを招く? 1992-1998年における米国の外科手術部位感染(SSI)率:全国院内感染サーベイランスシステムに基づくSSI危険指数

Loffler H, Kampf G, Schmermund D, et al.
How irritant is alcohol ?
Br J Dermatol 2007;157(1):1-3.

擦式アルコール製剤は世界的に院内の病原体の伝播予防に用いられているが、“肌荒れする”という考えが、その使用促進の妨げとなっている。今回、アルコール製剤のみを使用する場合と、洗浄剤とアルコール製剤を交互に使用する場合について、肌荒れの可能性を比較した。

皮膚疾患のない男女105名のボランティアを対象とし、パッチテストとウォッシュテストを行った。パッチテストは試験薬を染みこませたFinn Chambers(パッチテスト用絆創膏)を24時間毎に2回、背中の同一部位に密閉貼付する方法で行い、グループ1は、アルコール製剤(エタノール、1-プロパノール、2-プロパノールの各60、70、80、90、99-100%製剤)を含ませたアルコールパッチを2回貼付し、グループ2は、アルコールパッチと洗浄剤であるラウリル硫酸ナトリウム(SLS)を含ませたパッチを交互に貼付した。評価は、貼付前と貼付後72時間に行った。ウォッシュテストでは、SLSのみによる手洗い、擦式アルコール製剤(エタノール濃度80%)による消毒、またはSLSによる手洗後に擦式アルコール製剤を使用する手洗いのいずれかの方法を1日2回7日間行った。評価は、試験前と8日目、さらにその2日後の皮膚について、肌水分、紅斑、バリア破壊〔経皮水分蒸散量(TEWL)〕について行った。また、各被験者には、手洗い後の乾き、かゆみ、炎症について0~10のVASスケールで評価してもらった。

パッチテストの結果、アルコール製剤により皮膚バリアや紅斑はほとんど変化しなかったが、肌水分は有意に減少していた。また、荒れた肌にアルコールを用いた場合においては、SLSを単独で使用した場合ほどにはバリア破壊をしなかった。ウォッシュテストでは、エタノール製剤は洗浄剤での手洗いに比べ有意に肌刺激が少なかった(TEWL、p<0.001;肌水分、p<0.05;紅斑、p<0.05)。また、エタノールは元々荒れた肌に対しても肌荒れを増強しなかった。反対に、SLSによる洗浄後にエタノールを使用すると保護効果が見られた(TEWL、p<0.05;肌水分、p<0.05;紅斑、p<0.05)。以上より、擦式アルコール製剤は手洗いに比べて皮膚刺激が少なく、皮膚科的観点からも手指衛生上好ましいと考えられた。さらに、洗浄剤を機械的に落とすことにより、擦式アルコール製剤は、手洗い後の肌あれを助長するより、むしろ減少させる可能性がある。

(訳:寺島朝子,木津純子)

Carlisle Vol.13 No.1 p9-11 Spring 2008

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