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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.13 No.2 Summer 2008

Staphylococcus epidermidisのバイオフィルムに対するアルコール、ポビドンヨード、過酸化水素の効果

Presterl E, Suchomel M, Eder M, et al.
Effects of alcohols, povidone-iodine and hydrogen peroxide on biofilms of Staphylococcus epidermidis.
J Antimicrob Chemother 2007;60:417-420.

S. epidermidisは皮膚・粘膜に常在し、カテーテル関連敗血症や移植器具感染の起因菌となる。この細菌細胞が重合し、菌体を保護するバイオフィルムを形成することが知られている。そこで、心臓移植器具による感染とカテーテル関連敗血症の患者から分離したS. epidermidisのバイオフィルムに対する殺菌剤の効果を検討した。

心臓に移植された器具を装着している患者から分離された10株を含む合計30株、中心静脈カテーテル関連敗血症の患者から分離された10株および健常人ボランティアから分離された10株のS. epidermidisを対象とした。使用した殺菌剤は、60%N-プロパノール(NP)、2プロパノール(P)、プロパノールとエタノール配合剤にクロルヘキシジンを添加した製剤(PE-CHG)、0.5%・3%・5%過酸化水素(HO)、ポビドンヨード製剤(PVP-I)である。バイオフィルムは、マイクロプレートで24時間増殖させ、クリスタルバイオレットで固定染色した。波長550nmでの光学密度(OD)とOD割合(ODr=殺菌剤処理バイオフィルムのOD/未処理バイオフィルムのOD)を算出した。バイオフィルムは、各殺菌剤と共に1、5、15、30、60分培養した。健常人ボランティアの皮膚から分離されたS. epidermidisは対照として使用した。

臨床分離S. epidermidisのバイオフィルムODとボランティアから分離したS. epidermidisのODは、有意差が認められた(1.17±0.512:0.559±0.095、平均±SD)(p<0.01)。時間-殺菌曲線からアルコール、NP、PE-CHGで処理したバイオフィルムからはS. epidermidisは認められなかった。バイオフィルムと1分間接触培養後では3%・5%HOが90%と96%の殺菌効果を示した。

以上から、健常人ボランティアよりも感染移植器具から多くのバイオフィルムが得られ、S. epidermidisのバイオフィルムに3%・5%HO、アルコールが迅速な効果を示したが、PVP-Iは効果が少なかった。

(訳:白石 正)

Carlisle Vol.13 No.2 p13-15 Summer 2008

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