Y's Square:病院感染、院内感染対策学術情報 > 感染対策学術情報 > 医療関連感染情報季刊誌より(Carlisle) > Review > その他の 関連文献 > その他の病院感染関連文献 > 黄色ブドウ球菌感染についての国内の傾向:6年間以上の経済的負担および死亡率における影響力(1998~2003年)
Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.13 No.2 Summer 2008

黄色ブドウ球菌感染についての国内の傾向:6年間以上の経済的負担および死亡率における影響力(1998~2003年)

Noskin GA, Rubin RJ, Schentag JJ, et al.
National Trends in Staphylococcus aureus Infection Rates:Impact on Economic Burden and Mortality over a 6-Year Period(1998-2003).
Clin Infect Dis 2007;45:1132-1140.

われわれは、1998年から2003年の間での、アメリカ合衆国の病院における入院患者試料を使用し、黄色ブドウ球菌の感染率、経済的負担および死亡率の歴史的傾向について評価した。方法としては、入院患者の歴史的傾向を全入院患者の滞在日数、外科的処置後の滞在日数、拡張型の心臓血管に関する外科的滞在日数、拡張型整形外科的な手術後の滞在日数、および拡張型の神経外科的な手術後の滞在日数の5つの戦略の間で決定した。

1998年から2003年の6年間の研究期間で、黄色ブドウ球菌の感染率は全患者の滞在日数(0.34%から1.0%へ。年毎の変化率は7.1%、p=0.004)、外科的滞在日数(0.90%から1.3%へ。変化率は7.9%、p=0.001)および拡張型整形外科的滞在日数(1.2%から1.8%へ。変化率は9.3%、p<0.001)と有意に増大した。拡張型の神経外科的滞在では、黄色ブドウ球菌の感染率は1998年から2000年の間では変化しなかった。しかし、2000年から2003年の間では、毎年11.0%の割合で増大した。病院の黄色ブドウ球菌感染の全体での経済的負担についても全ての滞在パターンについて、毎年9.2%から17.9%の範囲で、有意に増大した(全て、p<0.5)。2003年においては、黄色ブドウ球菌感染の全体での経済的負担は、全ての入院患者の滞在で14.5億ドル、また、外科的処置後の患者の滞在では12.3億ドルと計算された。けれども、1998年から2003年の間での黄色ブドウ球菌に関係する病院内での死亡のリスクの有意な減少が認められた。すなわち、全入院患者の滞在が7.1%から5.6%へ(変化率が-4.6%、p=0.01)、また、外科的滞在が7.1%から5.5%(変化率が-4.6%、p=0.02)であった。

結論として、アメリカ合衆国内の病院における入院患者の黄色ブドウ球菌感染率および黄色ブドウ球菌感染の経済的負担は、1998年から2003年にかけて著しく増加し、一方病院における死亡のリスクは年毎に一定か、あるいはこの期間においてむしろ減少した。研究結果は、ヘルスケアに関係する感染のリスクを減少させるために、“ヘルスケア組織国立病院患者安全性ゴール番号7”の認定機関における2007年度合同委員会の実行のための後押しの必要性を強調する。感染に関係する主要な永久的機能のロスを防ぐ意味で、現行のCDCの手指衛生ガイドラインおよび管理に従うことを推奨する。本研究から得られた結果は、アメリカ合衆国の病院のための流行の将来的傾向および黄色ブドウ球菌感染の負担を計算するための予測モデルを作成するために使用することを可能にした。

(訳:坂上吉一)

Carlisle Vol.13 No.2 p13-15 Summer 2008

関連サイト