Y's Square:病院感染、院内感染対策学術情報 > 感染対策学術情報 > 医療関連感染情報季刊誌より(Carlisle) > Review > 感染起因菌 > MRSA > 1999年から2005年の間でのアメリカ合衆国におけるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌による入院期間および死亡
Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.13 No.2 Summer 2008

1999年から2005年の間でのアメリカ合衆国におけるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌による入院期間および死亡

Klein E, Smith DL, and Laxminarayan R
Hospitalizations and Deaths Caused by Methicillin-Resistant Staphylococcus aureus, United States, 1999-2005.
Emerg Infect Dis 2007;13:1840-1846.

黄色ブドウ球菌、特にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)による病院内感染は、病気および死亡の主要な原因のひとつであり、そして、患者および病院に対し重大な経済的コストの負担を強いる。しかし、近年の影響力およびこれらの感染の傾向は報告されていなかった。われわれは、1999年から2005年の間における黄色ブドウ球菌およびMRSAに関係する入院期間や年度別死亡数の推移を算出するため、国の入院期間および耐性データを使用し、調査した。この期間において計算された黄色ブドウ球菌に関係する入院期間は、294,570件から477,927件へと62%増加した。また、MRSAに関係する入院期間は、127,036件から278,203件と2倍以上に増加した。

院内感染の一般的な原因であるMRSAは、集団に関係する感染の原因菌として増加していることは脅威である。われわれの分析の目的は、アメリカ合衆国のヘルスケアシステムにおける黄色ブドウ球菌およびMRSAの近年の傾向および効果を計算することである。また、本研究では、黄色ブドウ球菌に関係する感染(一般的なもの)およびMRSAに関係する感染(特別なもの)の発生における効果および傾向に注目した。黄色ブドウ球菌感染に関係する入院数は調査期間で62%、1年あたりで約8.4%増加しているが、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染は119%、1年あたりで約14%増大した。さらに、黄色ブドウ球菌およびMRSAに関係する敗血症、肺炎および典型的な院内感染である機器に関係する感染の発生が観察されたが、集団に典型的な皮膚および軟組織感染の発生の急激な増加が観察された。

われわれはまたMRSAによる死亡数で特徴的な傾向がないこと、および死亡に至る黄色ブドウ球菌およびMRSAに関係する入院の割合の減少傾向を明らかにした。これらの結果より、疾患のエコロジーの変化が示唆された。すなわち、集団に関係するより急速な感染の広がり、そして病院内への侵入を可能にしている。

われわれの知見により、黄色ブドウ球菌およびMRSAは、病気の制御のための国家的優先課題であることが示唆される。

(訳:坂上吉一)

Carlisle Vol.13 No.2 p13-15 Summer 2008

関連サイト