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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.13 No.3 Autumn 2008

アメリカ合衆国におけるバンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌,2002-2006年

Sievert DM, Rudrik JT, Patel JB, et al.
Vancomycin-Resistant Staphylococcus aureus in the United State, 2002-2006.
Clinical Infectious Diseases 2008;46:668-674.

1997年、バンコマイシン中耐性の黄色ブドウ球菌(S. aureus)感染が日本で最初に報告された。なお、耐性メカニズムはvanAを介するものではなく、むしろ遺伝的変異およびある種の遺伝子の変化の表現を原因とする細胞物理面での変化であった。その結果として、バンコマイシンがターゲットであるS. aureusに達することを防止する特徴的な厚い細胞壁を有していた。2002年、ミシガン共同体の健康部は世界で初めてvanAを解するバンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA)感染を報告した。それ以来、6つの追加ケースを疾病制御予防センターが確認した(ペンシルベニアおよびニューヨークからの1例およびミシガンからの5例)。なお、最初の3例のみが情報として注目され公表された。

この報告では、2002年から2006年の間で検出されたアメリカ合衆国における7例(そのうちの5例はミシガンからの報告、1例はペンシルベニアから、また1例はニューヨークからの報告であった)のVRSAの臨床上の特徴、疫学的研究、感染制御評価、および微生物学的見解について比較した。分離したVRSAについては、確実な情報、抗菌剤感受性試験、パルスフィールドゲル電気泳動法および耐性遺伝子タイプについて検討し、疫学的、臨床的および感染制御情報を収集した。VRSAの伝播を評価するため、症例となっている患者および彼らが接触した全てのものについて同定した。分離された全てのVRSAはvanAが陽性であり、バンコマイシンの最小発育阻止濃度(MIC)が512μg/mLと中程度の耐性であった。7例ではいずれも以前にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌および腸球菌感染またはそれらの定着が認められた。患者は全て種々の急性の皮膚潰瘍を保有する基礎的な疾患を有する状態であった。そして、大部分の症例でVRSA感染の以前にバンコマイシンでの治療を受けていた。

結論として、VRE感染はまれに発生するケースとして続くと考えられる。これらの患者から分離したS. aureusおよびVREが有するプラスミドの特別な性質を研究するためのさらなる研究が必要である。医療従事者による適切な抗菌剤の処方、推奨する感染制御ガイドラインの固守、および完全なるMRSAおよびVREの両方の制御が、VRSAのさらなる発現を予防するために必要である。

(訳:坂上吉一)

CarlisleVol.13 No.3 p12-14 Autumn 2008

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