患者および構成単位レベルでの中心静脈カテーテルに関係する血流感染速度における病院実践の衝撃:多重集中研究
The Impact of Hospital Practice on Central Venous Catheter-Associated Bloodstream Infection Rates at the Patient and Unit Level:A Multicenter Study.
American Journal of Medical Quality 2008;23:24-38.
施設間での血流感染(BSI)速度の変動をもたらす要因についての研究は非常に少ない。本研究の目的は、集中治療室(ICU)レベルのBSI速度に影響する患者、看護のプロセスおよび病院の要因について同定すること、およびコホート研究で同定される個々のリスク要因に対する上記諸要因を比較することであった。著者らは13カ月以上にわたる多重集中予想観察研究で、中心静脈カテーテル(CVC)を挿入されている50施設の2,970の患者試料をランダムに抽出し、その際の看護プロセスを観察した。なお、検討した50施設のうちの13施設(26%)はアメリカ以外の国の施設であり、そのうちの17%の病院は教育病院であった。また、84%はそれらの病院の内科または内科/外科のICUでデータを集めて選択した。なお、ICUあたりの平均ベッド数は13であった(平均値:14.7、偏差値:7.2)。
患者レベルの分析を、性別、年齢、移植後、手術後および非経口的な栄養管の使用について調べた。50のICU施設の平均ユニットレベルのCVCでのBSI感染率は、1,000の中心ライン日あたり3.68感染であった(平均値:4.18、偏差値:2.5)。CVCの使用は月あたり276から6,312中心ライン日の範囲であった。コホート分析で、CVCを挿入している2,970の試料のうち、130のCVCでBSIが報告された(4.4%)。指標となるCVCの平均持続時間が5.93日であることより、1,000の中心ライン日あたり全体として7.39のBSI率を導いた。
患者要因の中では、女性患者の割合が低い感染率に関係した。透析患者は高い感染率に関係した。ケアー要因では、ナースによる挿入率およびPICC(末梢への挿入中心カテーテル)の割合は、感染率の低下に関係したが、一方、訓練中の医師による挿入率は高い感染率に関係した。病院の要因では、針のないシステムの使用は低い感染率に関係した。一方、教育事情および政府管轄の施設は、高い感染率に関係した。
われわれの結果は、実際面で種々の可能性のある連座の存在を示唆している。臨床医は非日常的にCVCの挿入を経験する透析患者のような高リスク者に注意を払うことが必要かもしれない。病院は非緊急的な立場では、PICCの使用を考慮してほしい。なぜなら、安価で、挿入および除去が容易であるからである。TPN(全非経口的な栄養)が予想される時、臨床医は抗菌剤を浸み込ませたCVCの使用を考慮してほしい。
(訳:坂上吉一)
Carlisle Vol.13 No.3 p12-14 Autumn 2008