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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.13 No.4 Winter 2009

これまでの院内感染に関係するメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)株に代わる市井に関係するMRSA株か?

Popovich KJ, Weinstein RA, and Hota B
Are Community-Associated Methicillin-Resistant Staphylococcus aureus (MRSA) Strains Replacing Traditional Nosocomial MRSA Strains?
Clin Infect Dis 2008;46:787-794.

最近の研究から、市井に関係するメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染が、医療施設へ侵入してきていることが示唆されている。われわれは、表現型および遺伝型分析手法を使用し、病院で発症した市井に関係するMRSAの血流感染の疫学調査を実施した。抗生物質の感受性の測定結果より誘導される最新の確立された手法(役割)を使用し、われわれは2000~2006年の間で、病院内で発症した血流感染(病院に入院後72時間以上)患者から分離した208株のMRSAの遺伝子型{例えば市井に関係する遺伝子(CGと略)または病院に関係する遺伝子(HGと略)}を予想した。われわれはCGまたはHG株に感染した患者の人口統計上の性質、リスク要因、および結果を比較した。

2000年1月~2003年6月および2003年6月~2006年12月までの期間(それぞれ1,000人の患者/日あたりで0.215、1,000人の患者/日あたりで0.207のケース)での全ての病院で発症したMRSA血流感染事故の発生率は安定していた{リスク比が1.0、95%信頼区間は0.7-1.3;p=0.79、実施期間2(2003年6月~2006年12月)と実施期間1(2000年1月~2003年6月)}。しかし、これらの血流感染のリスクは、2倍のCG株が原因であった(リスク比は1.9;95%信頼区間は1.2-3.1;p=0.01)。一方、HG株に基づくリスクは減少した(リスク比0.7;95%信頼区間は0.46-0.93;p=0.02であった)。多重変換分析における併存疾患の調節後では、CG株とHG株に基づく感染にかかるリスク要因は有意に検出されなかった。HG株に感染した患者たちは、陽性の血液培養結果を獲得するまでの日数が遅くなる傾向を示し、一方CG株に感染した患者では、ICUに入院することで、よりリスクが増大する傾向を示した。

全ての病院で感染したMRSA血流感染率は、2000~2006年の間で相対的に安定していた。しかし、CG株は発生率の増大(24~49%)が認められたことから、従来の病院に関係する株の交替が示唆された。最大のリスク要因および結果のために、CG株とHG株に感染した患者は類似したことから、CG株は従来の病院に関係する同等物と類似する性質を有することが示唆された。繰り返しになるが、われわれの研究から集団で獲得したMRSA感染が院内感染環境(病院内環境)に侵入していること、CG株並びにHG株が病院内での血流感染を伴う患者の人口統計学上の性質と結果がおおむね類似していることが示唆された。

(訳:坂上吉一)

Carlisle Vol.13 No.4 p8-10 Winter 2009

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