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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.13 No.4 Winter 2009

3箇所の系列病院におけるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)のための共通したサーベイランス

Robicsek A, Beaumont JL, Paule SM, et al.
Universal Surveillance for Methicillin-Resistant Staphylococcus aureus in 3 Affiliated Hospitals.
Ann Int Med 2008;148:409-418.

医療施設に関係するメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)疾患についての大規模に拡大したサーベイランスの効果については、いまだ検討されていない。本研究の目的は、MRSA疾患における2つの大規模なサーベイランスの介入効果を検討することであった。3つの連続期間における病院への入院中および病院から退院後におけるMRSA疾患の比較による観察研究、すなわち、ベースライン(12ヵ月間)、集中治療室(ICU)に入院している全ての患者のためのMRSAのサーベイランス(12ヵ月間)および病院内の全ての入院患者のための共通したMRSAサーベイランス(21ヵ月間)を実施した。

今回の検討はベッド数850床の3箇所の病院で約40,000人の毎年の入院患者を対象に実施した。各年度毎に病院に関係する臨床上のMRSA疾患(血流、呼吸、尿路系および外科部位)の流行頻度を比較するために、ポアソンモデルおよび区分回帰モデルを使用した。

ICUのサーベイランスおよび共通したサーベイランスの間のベースライン値としての1日あたり10,000人の患者における総合病院に関係したMRSA疾患の流行密度は、それぞれ8.9(95%CIが7.6-10.4)、7.4(CIが6.1-9.0;ベースライン値と比較してp=0.15)および3.9(CIが3.2-4.7;ベースライン値およびICUサーベイランスと比較してp<0.001)であった。共通のサーベイランスの間で、個々の身体部位でのMRSA感染の流行密度は、ベースライン値と比較して統計的に有意に減少した。メチシリン感受性黄色ブドウ球菌による菌血症は3つの期間で統計的に有意に変化しなかった。区分回帰モデルにおいては、総合病院に関係するMRSA疾患の流行密度は、ベースラインからICUのベースラインへ-36.2%(CIが-65.4-9.8%へ;p=0.17)およびベースラインから共通のベースラインへは、-69.6%(CIが-89.2--19.6%へ;p=0.03)へ、それぞれ変化した。共通のベースラインの間で、MRSA疾患率は入院期間中は減少し、そして退院後30日目においては、それ以上の減少は起こらなかった。臨床培養でのサーベイランスで実際のMRSA患者1日の17.8%を同定でき、そしてポリメラーゼ連鎖反応でのICUのサーベイランスでは33.3%が同定できたと推定される。結論として、MRSAのための共通の入院(患者)のサーベイランスの導入は、入院および退院後30日の間でのMRSA疾患の大きな減少に関係した。

(訳:坂上吉一)

Carlisle Vol.13 No.4 p8-10 Winter 2009

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