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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.14 No.3 Autumn 2009

キーボードの上に何が? 北アメリカのパルスフィールド電気泳動1型株に関係する流行の間でのクロストリジウム・ディフィシルの隠れた環境保有宿主の検出

Dumford DM, Nerandzic MM, Eckstein BC, et al.
What is on that keyboard? Detecting hidden environmental reservoirs of Clostridium difficile during an outbreak associated with North American pulsed-field gel electrophoresis type 1 strains.
Am J Infect Control 2009;37:15-19.

クロストリジウム・ディフィシル感染症(CDI)は、発展途上国において下痢が関係する最も一般的な医療分野の感染症である。近年、北アメリカおよびヨーロッパにおけるCDIの流行は、二成分からなる毒素遺伝子をコードしたもの、およびin vitro での毒素産生の増加に関係する遺伝的な欠失を有する北アメリカのパルスフィールド電気泳動1型株と名付けられた流行性株の緊急性が原因である。2002年の初めにクリーブランドのVA医療センターは、この流行性株が関係するCDIの大流行を経験した。

CDを保有する患者の室内環境表面が、しばしば芽胞で汚染されているとする多くの研究が報告されている。けれども、CDが分離された部屋の外側の環境表面が頻繁にCDで汚染されていることに関する情報はほとんど報告されていない。われわれは、CDが分離されていない患者の室内、内科医および看護師の仕事領域内、酸素計測法装置、心電図計、モバイルコンピューターおよび投与薬配給カートを含めた携帯可能な医療機器の表面を対象に、培養検査による時点有病率調査(point-prevalence culture survey)を実施した。分離した菌については、毒素の産生性、PCRリボタイピングおよび2成分からなる毒素遺伝子のためのPCRの評価により、それらの分離株の特性を調べた。

105か所の非隔離室のうちの17か所(16%)は毒素産生性のCDで汚染されていた。脊髄損傷部位における汚染が32%と最も高かった。患者室の外側の環境表面87か所の培養のうち、20か所(23%)は汚染されていた。その内訳は、医師の仕事領域29か所中9か所(31%)、看護師の仕事領域10か所中1か所(10%)、酸素計測法装置のフィンガープローブ、投与薬配給カート、投与薬配給カート上のバーコードスキャナ等、携帯医療機器の43か所中9か所(21%)等であった。タイピングを実施した26の分離株中19株(73%)は、リボタイプのパターンがCDI患者の便検体で検出されたものと一致した。また、13株(50%)は2成分からなる毒素陽性の流行菌株であった。

以上のことより、われわれの環境中のCD汚染は非隔離室、内科医および看護師の仕事領域、および携帯用機器上で一般的であることを認めた。これらの領域における汚染が伝播に有意な役割をするかどうかについて決定するための更なる研究が必要である。

(訳:坂上吉一)

Carlisle Vol.14 No.3 p8-10 Autumn 2009

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