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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.14 No.3 Autumn 2009

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌の院内での伝播における保菌圧力の役割

Williams VR, Callery S, Vearncombe M, et al.
The role of colonization pressure in nosocomial transmission of methicillin-resistant Staphylococcus aureus.
Am J Infect Control 2009;37:106-110.

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)は多くの国々において、院内で有意に保菌(定着)する固有の病原菌である。アメリカ合衆国においては、黄色ブドウ球菌のうちの46%がICU以外の患者領域で分離され、そして全てのICU病棟においては50%以上がMRSAであった。カナダの院内感染サーベイランスプログラムからの2005年度におけるサーベイランスデータから、カナダ国内の病棟において、黄色ブドウ球菌の13.1%がMRSAであることが報告されている。保菌者(キャリア)および感染した患者を含めたカナダ院内感染サーベイランスプログラム急性期ケア病院での全MRSA率は、患者10,000人あたり8.74人であり、そして、その80%は保健医療に関連することが同定された。

保菌者または感染した患者は、病院におけるMRSA患者間での主要な保有宿主である。推奨される感染制御および制御過程の強化にもかかわらず、われわれの病院内における一般内科病棟で、MRSAの伝播の経験が続いた。一般内科病棟で、MRSAの院内での伝播にもたらす保菌圧力(感染力)の役割について評価した。そして、付加的な感染予防並びに管理効果を実践するための定着圧力の閾値を提案した。

2005年1月から2006年12月まで、36床の一般内科病棟に入院していた全ての患者について、MRSAの侵入の有無をスクリーニングした。月毎の院内でのMRSAの発生率(新しい院内での事例×1,000/感受性の患者日数)および保菌圧力(MRSA患者日数×100/全患者日数)を計算した。95%信頼区間を使用する保菌圧力の中央値の上下におけるMRSAの伝播の相対的リスク(RR)を計算した。  院内感染によるMRSAが、連続しない8カ月で、研究期間中に21症例から検出された。2年間の平均保菌圧力は6.7%であった。MRSAを獲得するRRは平均値以上で増加した(RRが7.6;95%信頼区間は1.1-52.6;p=0.008)。MRSAの流行は、2つの別々の時期で認められた。いずれの症例でも、報告された月の前月での保菌圧力は、平均値である6.7%よりも大きかった。

保菌圧力は一般内科病棟におけるMRSAの一時的な伝播に対して有意な効果を有する。保菌圧力のモニタリングの前進は、増強する感染予防および速やかな制御体制を整えることによって、院内でのMRSAの伝播および流行の予防を減少させる可能性を有している。

(訳:坂上吉一)

Carlisle Vol.14 No.3 p8-10 Autumn 2009

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