Y's Square:病院感染、院内感染対策学術情報 > 感染対策学術情報 > 医療関連感染情報季刊誌より(Carlisle) > Review > 感染起因菌 > MRSA > NICU入院患児におけるMRSA感染のリスクファクターに関する調査
Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.15 No.1 Spring 2010

NICU入院患児におけるMRSA感染のリスクファクターに関する調査

Sakaki H, Nishioka M, Kanda K, et al.
An investigation of the risk factors for infection with methicillin-resistant Staphylococcus aureus among patients in a neonatal intensive care unit.
Am J Infect Control 2009;37:580-586.

新生児集中治療室(NICU)に入院する乳児においては、MRSAによる医療関連感染が高い頻度で発生している。MRSAは最も一般的な原因菌であるうえに、新生児TSS様発疹症(NTED)やブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(SSSS)などの感染症状を呈することから、新生児感染症における重要な菌の一つとされている。そのため、MRSA感染の発生を抑える感染対策の実施が求められているが、NICU患児を対象とした具体的なガイドラインは確立していないのが現状である。

そこで本研究では、NICU入院患児を対象とした効果的な感染対策の構築を目的とし、乳児におけるMRSA感染のリスクファクターを前向きに調査した。

調査対象は、2002年7月から2005年12月までに日本の大学病院のNICUに入院した患児961名とした。調査項目は、患児の性別や体重、両親情報などの基礎データ、および出産方法や入院期間、抗微生物薬の使用の有無など治療に関するデータとした。

その結果、対象患児961例のうち、38例の除外例を除き、193例よりMRSAが検出され、28例(2.9%)においてMRSA感染が確認された。また、多変量ロジスティック回帰分析の結果、MRSA感染のリスクファクターとして、出生時低体重(オッズ比[OR] 0.91、95%信頼区間[CI]:0.93-0.99)、目脂の存在(OR 6.78、CI:2.87-16.01)、カンガルーケアの実施(KMC:Kangaroo Mother Care)(OR 3.82、CI:1.11-13.13)、MRSA保菌率(OR 11.12、CI:1.32-93.89)が示された。

本研究には多くの制限があり、引き続き他施設試験による検証が必要であるが、上記のリスクファクターを持つ患児については、特別の注意が必要であることが示唆された。特に、カンガルーケアの実施やMRSA保菌率は改善の余地がある因子であることから、これらのリスクファクターに着眼した感染対策が実施されるべきである。

本研究の結果より、NICUにおけるMRSA感染の予防に際しては、MRSA保菌乳児の隔離が効果的であろう。

(訳:橋倉万由子、木津純子)

Carlisle Vol.15 No.1 p8-10 Spring 2010

関連サイト