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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.15 No.1 Spring 2010

臨床に関連した皮膚部位における皮膚消毒剤としてのアルコール類

Reichel M, Heisig P, Kohlmann T, et al.
Alcohols for Skin Antisepsis at Clinically Relevant Skin Sites.
Antimicrob Agents Chemother 2009;53:4778-4782.

アメリカ合衆国とヨーロッパにおいては、エタノールおよびイソプロパノールは、米国疾病管理予防センター(CDC)により推奨される外科部位感染を防止するための有効な医薬品として認識されている。米国食品医薬品局は、60~95v/v%エタノールおよび60~95v/v%イソプロパノール溶液が、患者の手術前の皮膚消毒剤として安全で効果的と評価した。一方、ヨーロッパにおいては、n-プロパノールもまた皮膚消毒のための医療用製品として有効であることが認められている。

カテーテル部位のケアのため、CDCは2%クロルヘキシジン製剤の使用を強く推奨している。カテーテル部位への菌の定着を抑制することは、カテーテル装着部位の皮膚バリアを永続的に破ることや、ドレッシング剤を交換するまでに長い日数を要する理由で重要である。クロルヘキシジンによるカテーテル部位のケアは、他の標準的な製剤よりも、より効果的である。クロルヘキシジンはまた、血流感染を遅らせるために、より効果的である。

以上の背景より、今回、60%、70%および89.5%エタノール、イソプロパノールおよびn-プロパノール(すべてv/v%)の消毒効果を、標準スクラブサンプリング法を用いて、180人の被検者の前部、背部および腹部に、2、3、4分間適用後分析した。20人の被検者の上腕および背部の好気性皮膚常在菌による定着の結果を、89.5% n-プロパノール中に0.5%、1%または2%クロルヘキシジングルコン酸塩(CHG)を含んだ溶液での処理後72時間で比較した。

すべての皮膚部位で最も効果的なアルコールはn-プロパノールであり、前部において2分後での平均Log10減少値は1.82であった。前部の好気性皮膚常在菌に対する効果は、主としてアルコールの種類によって影響を受け(p<0.001)、次いで濃度による(p<0.001)、および適用時間(p=0.006)であった。0.5%またはそれ以上のCHGを含んだアルコールは、菌の定着抑制の点で、アルコール単独よりも、より有意に効果的であった。89.5%のn-プロパノール溶液は、好気性皮膚常在菌数の減少により、最も効果的なアルコールであった。89.5%のn-プロパノール溶液とCHGの併用は、皮膚の定着を制限しなければならないときでさえも、適切である。皮膚への定着に対して最大の防御を供給する必要がある際、例えばカテーテル部位のケアに供給するため、n-プロパノール溶液中へ添加する最も効果的なCHG濃度を決定するための更なる諸研究が必要である。

(訳:坂上吉一)

Carlisle Vol.15 No.1 p8-10 Spring 2010

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