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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.15 No.2 Summer 2010

手術部位の消毒薬消毒であるクロルヘキシジンアルコールとポビドンヨード

Darouiche RO, Wall Jr. MJ, Itani KMF, et al.
Chlorhexidine-Alcohol versus Povidone-Iodine for Surgical-Site Antisepsis.
N Engl J Med 2010;362:18-26.

手術部位感染(SSI)は、術前の皮膚消毒をポビドンヨードで消毒しても発生している現状にある。これは患者の皮膚由来による菌によるもので、SSIを防止するには、手術部位の消毒を効率的に実施することによって低下させると考える。そこで、本研究は、SSIの防止を目的としてクロルヘキシジンアルコールとポビドンヨードを使用し、SSIの防止効果を比較したものである。

合衆国の6つの大学関連病院において2004年4月から2008年5月までの間にプロスペクティブ-ランドマイズ臨床試験を実施した。使用消毒薬は2%クロルヘキシジン 70%イソプロパノール製剤(CHG-A)および10%ポビドンヨード水溶液(PVP-I)である。本研究に同意を得た患者を2群に振り分け、手術部位をこれらの消毒薬で消毒した。第一のエンドポイントは、術後30日以内にSSIの発生を認めたもの。第二のエンドポイントは、SSIを表層切開感染、深部切開感染、組織感染の3タイプに分類して評価することであった。

まず、6つの病院におけるSSIの平均ベースラインは、皮膚をPVP-Iの消毒により清潔-汚染手術後で14%、CHG-Aに交換した場合では7%に減少した。意向処理分析で検定した対象患者は、合計849名(CHG-A:409名、PVP-I:440名)であった。試験の結果、SSIの割合はPVP-I群で16.1%、CHG-A群で9.5%と有意に低かった。皮膚をCHG-AまたはPVP-Iで術前に消毒した患者で、SSIの関連リスクは0.59(95%CI:041-0.85)、同様にCHG-Aは表層および深部感染が有意に低かった。しかし、組織感染(0.97、95%CI:0.52-1.80)あるいは敗血症(0.62、95%CI:0.3-1.29)では、2つの群間に有意差を示さなかった。また、副作用では2群間で類似していた。

 以上のことを総括すると、CHG-Aを使用した術前皮膚の消毒は、清潔-汚染手術後のSSI防止にPVP-Iを使用した消毒よりも優れているといえる。

(訳:白石 正)

Carlisle Vol.15 No.2 p8-10 Summer 2010

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