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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.15 No.2 Summer 2010

外科系、内科系、および脳神経系の集中治療室での手指衛生の遵守:
直接観察と計算上の消毒薬使用量との比較

Scheithauer S, Haefner H, Schwanz T, et al.
Compliance with hand hygiene on surgical, medical, and neurologic intensive care units:Direct observation versus calculated disinfectant usage.
Am J Infect Control 2009;37:835-841.

医療関連感染は、罹病率(罹患率)、病院での入院期間および病院での費用面に大きな影響を及ぼす要因である。適切な手指衛生は、医療関連感染を予防するための最も効果的な単一手段である。

手指衛生は、医療関連感染症を予防ならびに管理するための、単独でかつ最も効果的な方法であると考えられている。手指衛生の勧告の遵守率に関する報告はいくつか存在するものの、集中治療室(ICU)全般におけるデータについて、特に勤務時間帯別および手指衛生適用の種類別の遵守率に関するデータはほとんど認められない。

本研究の目的は、Aachen大学病院の外科系ICU、内科系ICU、および脳神経系ICUにおいて、直接的な観察および計算上の消毒薬使用量の値に基づいて、手指衛生を実施する頻度、手指衛生の行動頻度、および遵守率に関する各ICU別、勤務時間帯別、および手指衛生適用の種類別のデータを収集することである。

24時間に記録された手指衛生を実施する頻度は、外科系ICU(188回/患者・日)および内科系ICU(163回/患者・日)の方が脳神経系ICU(124回/患者・日)よりも有意に高かった。直接観察による遵守率は外科系ICU 39%(73回/188回)、内科系ICU 72%(117回/163回)、脳神経系ICU 73%(90回/124回)であった。しかし、実際の消毒薬使用量を指標として算出した遵守率はかなり低く、外科系ICUで15%(29回/188回)、内科系ICUで21%(34回/163回)、脳神経系ICUでは25%(31回/124回)であった。注目すべきことには、直接観察を実施した場合の遵守率は、無菌操作の実施前および患者との接触の前で最も低かった。

著者らの知る限りでは、本研究は24時間を通しての観察に基づいて、勤務時間帯別および手指衛生適用の種類別の解析ならびに直接観察による遵守率と、消毒薬使用量を指標として算出した遵守率の比較について、初めてデータを示した報告である。なお、この遵守率の比較では、2.75倍の差があることが判明した。無菌操作の実施前など、特に医療に関連する感染予防に対する影響が大きい手指衛生の適用について遵守率が極めて低かったことは、非常に危惧される。したがって、遵守率および不遵守である理由に関するデータを、今後より多く収集する必要がある。

(訳:坂上吉一)

Carlisle Vol.15 No.2 p8-10 Summer 2010

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