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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.15 No.3 Autumn 2010

ウイルス性胃腸炎が疑われるアウトブレイクの制御に対する出勤停止規程の効果: 介護施設における集団発生調査の解析

Vivancos R, Sundkvist T, Barker D, et al.
Effect of exclusion policy on the control of outbreaks of suspected viral gastroenteritis:Analysis of outbreak investigations in care homes.
Am J Infect Control 2010;38:139-143.

ノロウイルスは世界中での感染性胃腸炎の重要な原因である。糞便-経口経由および環境汚染を経由して、容易に人から人へ感染が伝播する。主として二枚貝、冷凍の食用小果実およびサラダ等が原因食品となる集団感染もよく発生する。影響を受けた人々の免疫が長続きしないこと、および少ないウイルス数で感染が成立することから、集団発生は多数の人々を巻き込むことになる。ノロウイルスは介護施設においての胃腸炎の集団発生の重要な原因であるが、ノロウイルスの集団発生時において推奨される罹患職員の出勤停止期間には相違がある。

本報では、出勤停止規程が異なるイギリスの2州の健康保護ユニット(NorfolkおよびSuffolk)における2006年から2007年に報告されたノロウイルスの集団発生の回顧的解析を実施した。一方の州(Norfolk)は、罹患職員の出勤停止期間と入居者の隔離期間を、症状が消失してから72時間後までとすることを推奨している。もう一方の州(Suffolk)では48時間後までであった。本研究では、入居者および職員の罹患率および平均患者数を、介護施設の種類および入所者に対する職員の配置割合をもとに補正し、比較検討した。

合計96件の集団発生が報告されており、このうち72時間の出勤停止規程の州(Norfolk)で63件、48時間の州(Suffolk)では33件であった。なお、出勤停止規程が長い方が、職員での平均患者数が少なく(6.5対9.6、P=0.044)、全罹患率が低かった(32.6%対35.1%、P=0.05)。入居者の平均患者数または罹患率に差異はなかった。

今回の小規模な研究から、出勤停止規程を長くすることによって、ウイルス性胃腸炎に罹患する職員数が減少し、結果として職員の欠勤日数が減少する可能性が示唆された。これは、特に職員数が少ない場合に有効である可能性がある。なお、異なった環境におけるウイルス性の胃腸炎感染の集団発生を制御するための介在および政策の効果についてのさらなる検討が、より良い結果を得るために必要であることが今後の課題である(最善の可能性のある結果を得ることを保証するために必要である)。われわれは2つの排除政策を用いた集団発生の全体の持続期間に顕著な差異がないと信じている。けれども72時間排除は、病気で離れるスタッフ数を減少させるだけでなく、全体の非従事日数(休業日数)を減らす点で、利益をもたらすことを強調したい。

(訳:坂上吉一)

Carlisle Vol.12 No.3 p8-10 Autumn 2007

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