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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.15 No.4 Winter 2011

C型肝炎ウイルス(HCV)の安定性は?:
HCVの環境安定性と化学消毒剤に対する感受性

Ciesek S, Friesland M, Steinmann J, et al.
Herruzo. How stable is the hepatitis C virus(HCV)? Environmental stability of HCV and its susceptibility to chemical biocides.
J Infect Dis 2010;201(12):1859-1866.

C型肝炎ウイルス(HCV)に対する消毒剤の抗ウイルス効果は、HCVの組織培養法が存在しないことから、従来、牛ウイルス性下痢ウイルス(BVDV)を用いた試験をもとに推定されてきた。しかし、近年、HCVの細胞培養が可能になったことから、HCVの環境安定性や化学消毒剤に対する感受性を直接的に評価できるようになった。

そこで、本試験では、細胞培養で増殖可能な肝炎ウイルス(HCVcc)を使用し、HCVの感染力について限界希釈法を用いて判定した。また、感染力とHCV RNAレベルとの相関を検討するために、HCV RNAレベルを定量的リアルタイムPCRにて分析するとともに、転写ゲノムの安定性を抽出RNAのHuh 7.5細胞への転写および免疫染色より分析した。

その結果、液体環境下でのHCV感染力は、短期間(8日間)では、低温条件下(4℃)ではわずかな減少を示すのみであったが、室温条件下(21℃)では10倍の速度で減少し、37℃ではわずか2日後に不活化した。この結果より、HCVの安定性は温度依存性であることが判明した。長期的には、低温条件下(4℃)で最大5ヵ月間持続することが認められた。また、ウイルスの感染力とHCV RNA複製数は相関しないことが確認されたことから、HCVへの感染リスクは、HCV RNAレベルからは正確に把握できないことが分かった。

種々のアルコール製剤や市販の消毒剤の効果については、HCVの感染力を一定程度低減させる効果を示した。なかでも最も効果的なアルコール製剤は1-プロパノールであった。従来の試験方法として代用されてきたBVDVと比較すると、その効果はほぼ相関したが、HCVはエタノールおよび2-プロパノールに対して若干の耐性を示した。また、高水準消毒剤のグルタルアルデヒド(0.5%)および過酢酸(0.05%)は、HCVを1分間で完全に不活化した。市販の消毒剤を10倍希釈で使用した場合には、一部の製品は抗ウイルス活性を示さなかった。

本研究で示されたHCVの環境安定性および化学消毒剤に対する感受性に関する評価は、HCVの病院内での感染伝播を防ぐための正しい感染制御プロトコ-ルの作成に有用であろう。

(訳:橋倉万由子、木津純子)

Carlisle Vol.15 No.4 p8-10 Winter 2011

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