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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.15 No.4 Winter 2011

臨床現場で分離されたアシネトバクター属菌の中での消毒剤に対する感受性の低下と薬剤耐性菌の相関性

Kawamura-Sato K, Wachino J, Kondo T, et al.
Correlation between reduced susceptibility to disinfectants and multidrug resistance among clinical isolates of Acinetobacter species.
J Antimicrob Chemother 2010;65:1975-1983.

アシネトバクター属菌、特にAcinetobacter baumanniiは、日常的に種々の抗菌剤が処方される免疫不全患者が入院する、ICUにおける院内感染起因菌の主要な菌である。本研究の目的は、2002年に97ヵ所の日本国内の病院内で臨床的に分離された283の重複しないアシネトバクター属菌(A. calcoaceticus-baumanniiA. lwoffiiおよびA. junii)の消毒剤および抗菌剤に対する感受性特性を研究することであった。

4種類の消毒剤(クロルヘキシジングルコン酸塩、ベンザルコニウム塩化物、ベンゼトニウム塩化物、アルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩)、6種類の抗菌剤(ゲンタマイシン、アミカシン、テトラサイクリン、セフタジジム、イミペネム、シプロフロキサシン)および2種類の染料(アクリフラビン、エチジュウム臭化物)に対する上記で分離された感受性特性を検討した。MICについては、CLSI(Clinical and Laboratory Standards Institute、以前はNCCLS)が推奨している寒天希釈法により測定した。MBC測定およびTime-kill定量は、ヨーロッパ標準EN1040に基づく定量懸濁法を若干修正し、実施した。

その結果、2002年に分離された283株のアシネトバクター属菌の中では、消毒剤に対する耐性の事実は認められなかった。クロルヘキシジングルコン酸塩、ベンザルコニウム塩化物、アルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩に対するMIC90は、それぞれ50、50および400mg/Lであった。興味深いことに、アルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩およびベンゼトニウム塩化物の4および3株の臨床分離株に対するMICは、それぞれ800mg/Lに達した(概算で実使用の半分の濃度)。試験した4種類の消毒剤のうちの1種類に対して、少なくともMICがMIC90よりも大きい28株の消毒剤に対する感受性(DRS)が減少した臨床株のMBCは、一般的に感受性の分離株の検出程度と類似していた。けれども、消毒剤感受性とクロルヘキシジングルコン酸塩、ベンザルコニウム塩化物およびベンゼトニウム塩化物のTime-kill定量におけるDRS分離株の間に、有意差が観察された(p<0.05)。さらに、DRS臨床株はセフタジジム、シプロフロキサシンおよびアミカシンに対して多剤耐性特性を示す傾向があった(p<0.05)。

臨床分離された数種類のアシネトバクター属菌は、多種類の抗菌剤および消毒剤に対し耐性度が大きくなってきた。もし、多剤耐性アシネトバクター属菌が頻繁に臨床的に分離されるならば、消毒剤に対する感受性のチェックは最善である。

(訳:坂上吉一)

Carlisle Vol.15 No.4 p8-10 Winter 2011

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