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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.16 No.1 Spring 2011

アルコール配合手指消毒剤の使用量の増加と新生児集中治療室からのメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)撲滅の成功:多変量時系列分析

Sakamoto F, Yamada H, Suzuki C, et al.
Increased use of alcohol-based hand sanitizers and successful eradication of methicillin-resistant Staphylococcus aureus from a neonatal intensive care unit:A multivariate time series analysis.
Am J Infect Control 2010;38:529-534.

1981年、新生児集中治療室(NICU)において最初のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染が報告されて以来、MRSAは新生児における医療に関係する主要原因の一つになってきた。NICUにおける微生物の伝播を予防ならびに制御するためには、積極的監視培養、厳格な接触予防措置、および局所的除菌療法(治療)のような異なった手段が適用され、そして達成度については、さまざまではあるが、ある程度の成功をおさめてきた。

この報告では、NICUからのMRSAの漸減と、最終的に根絶に至るために貢献した諸要因を研究するために、時系列データの分析を実施し、評価した。  多変量補正をした自己回帰和分移動平均(ARIMA)モデルを用いて、2003年7月から2009年7月までの期間、NICUにおける毎月のMRSAに罹患した患者の密度率および発生の予測因子についての時系列分析を実施した。

非季節性および非定常移動平均モデルによるARIMA(0、1、1)に基づく分析から、MRSA感染の罹患密度率に対して有意に関連する因子は、患者1例の1日あたりのアルコール配合手指消毒剤使用量の月間平均値のみであった(ラグ期間0ヵ月、P=0.011)。MRSAの保菌圧、患者と看護師での発生比率、およびベッドの利用率は、NICUにおけるMRSA獲得の有無とは関連しなかった。1980年代後半から実施していた積極的監視培養単独では、MRSAの蔓延を制御するには不十分であった。手指衛生の強化徹底を併用することによって、制御が可能となった。

NICU病棟での新生児がMRSAを獲得してしまうリスクを低減させるには、消毒剤へのアクセスの改善や、医療従事者に対する定期的な講習等によって、アルコール配合手指消毒剤の使用を推進させることが強く推奨される。

われわれの時系列分析では、医療従事者に対して使用しやすいように改善することによるアルコール配合手指消毒剤の使用量を増大させること、および定期的な手指衛生訓練の講習会(会議)を供給することは、統計的に有効である。そして、NICUにおいて、MRSAの発生率を低減させることが実現できた。アルコール配合手指消毒剤の使用量を増加させることは、NICU病棟における新生児のMRSA獲得リスクを減少させるために強く推奨される。

(訳:坂上吉一)

Carlisle Vol.16 No.1 p8-10 Spring 2011

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