Y's Square:病院感染、院内感染対策学術情報 > 感染対策学術情報 > 医療関連感染情報季刊誌より(Carlisle) > Review > その他の 関連文献 > その他の病院感染関連文献 > 手指皮膚炎の予防プログラムがもたらす効果:文献のシステマティックレビュー
Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.16 No.2 Summer 2011

手指皮膚炎の予防プログラムがもたらす効果:文献のシステマティックレビュー

Van Gils RF, Boot CRL, van Gils PF, et al.
Effectiveness of prevention programmes for hand dermatitis:a systematic review of the literature.
Contact Dermatitis 2011;64:63-72.

手指皮膚炎は、各地で広く発生している慢性・反復性の皮膚疾患であり、患者にとって身体的・精神的な苦痛が大きい。そのため、医療機関を受診するケースが多く、しばしば医療機関の機能低下をもたらすことから、患者や社会への負担も大きい。しかしながら、いくつかある手指皮膚炎の治療法の効果は十分とはいえず、未然に防止することが重要であるにも関わらず、予防プログラムの有効性は確立されていないのが実状である。

そこで、本研究では、職員への教育を含む広範な予防プログラムの導入が、手指皮膚炎の発生頻度や予防対策アドヒアランス、皮膚水分蒸散量(TEWL)等の臨床成績、患者の自己評価、医療費用に及ぼす効果について、非介入群と比較し評価を行った。

方法は文献調査とし、PubMedおよびEmbaseを用いて、収録開始年~2010年1月までの文献を対象とした。文献抽出は、Cochrane Libraryの基準に従って実施し、各文献の試験方法を2名の審査者により評価した。また、分析結果のエビデンスレベルの評価指標としては、GRADEシステム(Grading of Recommendations Assessment, Development and Evaluation:エビデンスの質を「高・中・低・非常に低」の4段階に等級する手法)を用いた。

その結果、上記2つのデータベースより、合わせて1,477件(PubMed:365件、Embase:1,112件)の文献が収集され、2名の審査者による評価の結果、最終的には7件の文献が抽出された。

抽出された文献の評価により、予防プログラムによる手指皮膚炎の減少や予防対策アドヒアランスの向上については「GRADE:中レベル」の効果が確認された。また、臨床成績や患者の自己評価についても「GRADE:低レベル」の効果が確認された。しかしながら、医療費用に及ぼす効果については、いずれの文献でも認められなかった。

本研究により、手指皮膚炎の予防プログラムの効果として、一定の手指皮膚炎の減少や予防対策アドヒアランスの向上が示された。今後は、費用効果も含めた、さらに質の高い研究が必要である。

(訳:寺島朝子,木津純子)

関連サイト