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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.16 No.2 Summer 2011

手指の微生物叢を干渉する諸要因:465人の医療従事者からの試料の回帰分析

Fagernes M, Lingaas E
Factors interfering with the microflora on hands:a regression analysis of samples from 465 healthcare workers.
J Advanced Nursing 2011;67:297-307.

手指汚染のリスクおよび手指洗浄並びに手指消毒の効果を妨害するものには、多くの変動要因があると考えられる。けれども、指輪、腕時計、爪を磨くこと、指爪の長さ、手にローションをつけること、性別および職業のような、多くの変動要因の影響に関しての明確な答えはなかった。これらを論じた研究は少なく、得られた結果も部分的に矛盾していた。多くの変動要因間に相関性があるかも知れないが、各要因の個々の分析を可能にするためには大きいスケールの研究が要求される。しかし、多変量分析のための最適な研究が欠けている。結果の不一致は、現状のガイドラインに関係する刊行物中での手指衛生の推奨結果が異なることによる。そこで、われわれは、医療従事者の手指衛生を最適化するための、変動要因の影響を立証するための更なるデータの提示が必要と考える。

本研究では、医療従事者の手指の微生物学的立場における指輪、腕時計、爪を磨くこと、指爪の長さ、手にローションをつけることの是非、性別および職業の重要性の研究を報告する。前述したが、医療従事者の手指の微生物学的立場における変動要因の重要性については、あまり明確にされていない。したがって、多変量分析のために適した大規模な研究が、諸要因を説明するために必要である。

異なる研究期間(2004年および2007年)に、465人のノルウェーの医療従事者の両手から、グローブジュース法により菌を採取した。全細菌数および黄色ブドウ球菌、腸内細菌科の菌および非発酵グラム陰性桿菌数を試験した。その結果、腕時計の使用は、腕時計をしていない手と比較して、全細菌数が増大することに関係した[(B)3.25 (95%CI:1.73-6.07)、p<0.001]。一方、一つの平坦な指輪の使用は腸内細菌科の菌の保菌率を増大させた[オッズ比2.71(95%CI:1.42-5.20)、p=0.003]。黄色ブドウ球菌の保菌率は、2mmよりも長い指爪で増大した[オッズ比2.17(95%CI:1.29-3.66)、p=0.004]。また、ハンドローションの使用直後でも菌の増大を認めた[オッズ比22.52(95%CI:4.05-125.30)、p<0.001]。爪を磨くことは、全く効果がなかった。われわれは、職業と黄色ブドウ球菌および腸内細菌科の菌の運搬率との間に相関性を認めた。

以上のことから、医療従事者は、仕事に従事するときは指輪および時計を外し、指爪は2mmより短くすべきである。

(訳:坂上吉一)

Carlisle Vol.16 No.2 p7-9 Summer 2011

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