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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.16 No.3 Autumn 2011

北ニューイングランドの長期療養施設におけるノロウイルスのアウトブレイクのリスク要因としてのアルコールを主剤とする手指消毒剤の使用:2006年12月~2007年3月

Blaney DD, Daly ER, Kirkland KB, et al.
Use of alcohol-based hand sanitizers as a risk factor for norovirus outbreaks in long-term care facilities in northern New England:December 2006 to March 2007.
Am J Infect Control 2011;39:296-301.

2006年12月~2007年3月にかけて、北部ニューイングランドにおいて、ノロウイルスを原因とする疾患が一時的に大幅な増加を示した。北部ニューイングランドの長期療養施設におけるノロウイルスのアウトブレイク(流行)について、施設内のリスク因子を明らかにする研究を目指した。

メイン州、ニューハンプシャー州およびバーモント州の保健局が、各州のすべての長期療養施設の感染管理担当者に調査票を配布した。2006年12月から2007年3月の間での施設の特性、職員の日常的なアルコールを主剤とする消毒剤の使用と石けんおよび水での手洗いとの比率、施設の清掃方法、および全ての急性胃腸炎のアウトブレイクの発生に関する情報を収集した。ノロウイルスの確定検査は公衆衛生研究所で実施した。データ解析には一変量解析およびロジスティック回帰手法を用いて実施した。

160施設中91施設(60%)から調査に対する回答が得られた。そのうちの61施設が73件のアウトブレイクを報告し、29件ではノロウイルスが原因であることが確認できた。職員の日常的手指衛生にアルコールを主剤の手指消毒剤を石けんおよび水での手洗いと同等またはそれ以上の頻度で使用していると報告した施設では、アルコールを主剤の手指消毒剤の使用割合が低い施設と比較したとき、ノロウイルスのアウトブレイクの発生オッズ比が高かった(補正オッズ比は6.06、95%信頼区間は1.44-33.99)。

本研究の結果から、日常的手指衛生の際に、アルコールを主剤とする手指消毒剤を石けんおよび水での手洗いよりも優先的に使用することが、長期療養施設におけるノロウイルスのアウトブレイクのリスクの上昇に関連する可能性が示唆された。

なお、ノロウイルスのアウトブレイクの防止および制御のためには、アルコールを主剤とする手指消毒剤の使用を評価するための更なる研究が必要である。本研究の結果が期待されるものであると確信するならば、ノロウイルスの暴露が強く疑われるか、あるいは証明されたとき、日常的な手指衛生に関する推奨手段の変更、たとえば石けんおよび水での手洗いへの変更を考慮すべきである。

(訳:坂上吉一)

Carlisle Vol.16 No.3 p8-10 Autumn 2011

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