Y's Square:病院感染、院内感染対策学術情報 > 感染対策学術情報 > 医療関連感染情報季刊誌より(Carlisle) > Review > 感染部位 > 血液 > 小児外科におけるクロルヘキシジン皮膚消毒による静脈栄養療法時の敗血症と菌血症発生率の有意な減少
Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.16 No.4 Winter 2012

小児外科におけるクロルヘキシジン皮膚消毒による静脈栄養療法時の敗血症と菌血症発生率の有意な減少

Bishay M, Retrosi G, Horn V, et al.
hlorhexidine antisepsis significantly reduces the incidence of
sepsis and septicemia during parenteral nutrition in surgical infants.

J Ped Surg 2011;46:1064-1069.
 

消化管手術と静脈栄養療法を必要とする乳児は感染症の危険性が高い。2007年、中心静脈カテーテル(CVC)連結部をクロルヘキシジン消毒することにより、小児骨髄移植患者のカテーテル関連菌血症発生率が劇的に減少した。そこで、消化管手術を要する乳児において、クロルヘキシジンが菌血症発生率を減少するかを検討した。

210人の術後乳児を対象にレトロスペクティブコホート比較試験を行った。対象患者は中心静脈栄養療法を5日間以上受けており、壊死性腸炎45%、腸閉塞30%、腹壁欠損17%、その他7%であった。コントロール群(98人)はCVC挿入部の皮膚を70%イソプロパノール単独で消毒し(2005年1月~2006年12月)、クロルヘキシジン群(112人)はCVC挿入部の皮膚を2%クロルヘキシジン含有70%イソプロパノール液で消毒した(2007年7月~2009年6月)。コントロール群とクロルヘキシジン群において、臨床的に敗血症が疑われる患者(血液培養実施)と菌血症(血液培養陽性)を調査した。

両群で疾患、術前の集中治療室への入室状況および静脈栄養期間に有意な差はなかった。全体で71%の乳児が少なくとも1回、臨床的に敗血症が疑われ、菌血症発生率は32%であった。コントロール群では70人の乳児(71%)が合計300エピソード敗血症を経験し、36人の乳児(37%)が104エピソード菌血症を経験した。一方、クロルヘキシジン群では80人の乳児(72%)が合計297エピソード敗血症を、31人の乳児(28%)が64エピソード菌血症を経験した。静脈栄養療法100日当たりの敗血症発生数は、コントロール群12.0±10.7、クロルヘキシジン群10.9±10.3と、クロルヘキシジン群はコントロール群に比べ発生率比0.72(95%信頼区間 0.61-0.84、p<0.0005)と有意に少なく、クロルヘキシジン導入後敗血症率は28%減少した。また、静脈栄養療法100日当たりの菌血症発生率もコントロール群2.8±4.3、クロルヘキシジン群2.1±4.8と、発生率比0.49(95%信頼区間 0.36-0.67、p<0.0005)とクロルヘキシジン群は有意に少なく、50%以上減少していた。さらに、クロルヘキシジンは血液培養陽性発現日を有意に延長した(p=0.0003)。最も多く検出された菌はコアグラーゼ陰性ブドウ球菌であり、70%を占めた。クロルヘキシジン群では、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌とグラム陰性菌が有意に少なかったが、腸球菌では有意差はないものが多かった。

消化管手術を受けた乳児で、CVCのクロルヘキシジン皮膚消毒は、敗血症や菌血症の発生率を有意に減少することが示され、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌菌血症の減少によるものと考えられた。

(訳:豊口禎子)

Carlisle Vol.16 No.4 p8-10 Winter 2012

関連サイト