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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.16 No.4 Winter 2012

急性期ケアにおける多剤耐性菌の感染予防および制御プログラムの総合レビュー: 社会生態学的見通し

Backman C, Taylor G, Sales A, and Marck PB
An integrative review of infection prevention and control programs for multidrug-resistant organisms in acute care hospitals:A socio-ecological perspective.
Am J Infect Control 2011;39:368-378.
 

カナダとアメリカ合衆国では、多剤耐性菌の感染率が上昇しており、感染予防および制御は、依然として急性期ケア病院での重要課題である。本研究の目的は、急性期ケア病院での多剤耐性菌感染制御プログラムと多剤耐性菌感染率との関連に関する文献のレビューおよび評価である。MEDLINE、CINAHL、EMBASE、PUBMED、Cochrane Libraryおよび専門家との協議により特定した1998年1月1日から2009年5月14日に発表された原著論文を研究の対象とした。

検索した1,382報の論文のうち47報をレビューしたところ、32件の研究が選択基準に合致した。対象研究で実施されていた介入を、二段階介入プログラムを用いて評価した。18件の研究は、医療施設における運営上の施策を適用し、20件は医療従事者の教育・訓練、8件は抗菌薬の慎重投与、17件はサーベイランス、24件は伝播予防を目的とした感染制御対策、7件は施設内の環境対策、また、9件は患者の除菌を実施していた。32件は準実験的研究であったが、標本サイズの算出法を記載していたのは2件のみ、また、交絡因子を取りあげていたのは5件のみであった。27件は分割時系列デザイン、2件は対照群を設けた介入前後比較デザインを使用していたが、3件は対照群を設定しない介入前後比較デザインを使用していた。

今回のレビューから、多剤耐性菌感染の予防制御プログラムと多剤耐性菌感染率との関連を示すエビデンスは弱いことが示唆されたが、しかし、急性期ケア病院での多剤耐性菌感染発生率の減少を目的とした複数の介入は実施すべきである。どの介入法が有効であるかは不明であるが、複数の介入の同時実施が、多剤耐性菌感染の減少に有効である可能性が示唆されている。さらに、分割時系列デザインによる研究には限界があるものの、積極的監視培養を適用していた複数の研究からは、介入と多剤耐性菌感染の減少との関連が示された。今後のアウトブレイク(大流行)と介入に関する研究報告は、推奨されている院内感染の大流行報告および介入研究ガイドラインに基づく標準化方法で作成すべきである。また、あらゆる介入が実施されていることを明確に示すために、提唱されている二段階介入プログラムの概念に関する研究を行う必要がある。

(訳:坂上吉一)

Carlisle Vol.16 No.4 p8-10 Winter 2012

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