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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.17 No.3 Autumn 2012

シカゴ首都圏の救急車からの黄色ブドウ球菌株の検出と分析

Rago JV, Buhs LK, Makarovaite V, et al. Detection and analysis of Staphylococcus aureus isolates found in ambulances in the Chicago metropolitan area. Am J Infect Control 2012;40:201-205.

さまざまな黄色ブドウ球菌株が病院外の環境中から検出されている状況を踏まえ、本研究では、シカゴ首都圏において実際に使用されているALS※救急車からの黄色ブドウ球菌株の検出頻度を調査した。さらに、8種類の抗微生物薬(アンピシリン、バシトラシン、セフォキシチン、エリスロマイシン、オキサシリン、ST合剤、テトラサイクリン、バンコマイシン)を用いて、検出されたそれぞれの黄色ブドウ球菌株の薬剤耐性に関する分析を行った。

シカゴの34自治体で使用されている71台のALS救急車を対象として、それぞれ26カ所から検体を採取した。そのうち、黄色ブドウ球菌に特徴的な成長特性を示したコロニーを選択し、黄色ブドウ球菌同定のためのラテックス凝集試験を行った。また、ラテックス凝集試験で陽性となった全ての菌株に対して、薬剤耐性試験および遺伝子解析を実施した。

その結果、検体を採取した71台の救急車のうち69%(49台)から1種類以上の黄色ブドウ球菌株が検出された。黄色ブドウ球菌株と同定されたのは全体で100株で、そのうち77%は少なくとも1つの抗微生物薬に対する耐性を示し、34%は複数の抗微生物薬に対する耐性を示した。オキサシリン耐性を示した黄色ブドウ球菌株は21株であったが、そのうちMRSAに特徴的なSCCmec(ブドウ球菌カセット染色体)を持っていたのはわずか12株であった。また、分離された黄色ブドウ球菌株のうち、12%は最終的にMRSAと判定されたが、残りの88%はさまざまな薬剤耐性を示すメチシリン感受性株(MSSA)であった。

抗微生物薬への耐性が、シカゴ首都圏のALS救急車から検出された黄色ブドウ球菌株において広く認められた。黄色ブドウ球菌は無生物表面でも容易に生存でき、薬剤耐性遺伝子配列を容易に交換できることから、救急車の中でも特に重要な場所については、入念な消毒の実施が求められる。

今後も、今回の研究で特に注意すべき結果を示した自治体へのフォローアップに加え、さまざまな手技を活用したさらなる分離株の分析を行う必要がある。

(訳:橋倉万由子、木津純子)

Carlisle Vol.17 No.3 p10-12 Autumn 2012

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