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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.18 No.2 Summer 2013

環境表面のバイオフィルムに対する新しい蒸気殺菌システムの効果

Song L, Wu J, Xi C
Biofilms on environmental surfaces:Evaluation of the disinfection efficacy of a novel steam vapor system. Am J Infect Control 2012;40:926-930.

医療施設の環境表面は、しばしば微生物に汚染され、バイオフィルムが形成される。これらのバイオフィルムは病院感染の発生源となることから、バイオフィルムを効果的に除去する手法が重要とされている。従来は、次亜塩素酸ナトリウム溶液などの液体化学消毒薬が利用されてきたが、これらは、残液による人健康への影響が懸念される点や、殺菌に長い時間を要する点が課題とされてきた。近年では、化学消毒薬に代わる新たな手法として蒸気殺菌システムが期待されているが、その効果に関する詳細な報告はされていない。そこで本研究では、環境表面にできたバイオフィルムに対する蒸気殺菌システムの効果について検証した。 試験は、TANCS(thermal-accelerated nanocrystal sanitation)を装備した蒸気殺菌システムを用いて実施し、ポリカーボネート表面に形成させた4つの菌種(大腸菌、アシネトバクター、緑膿菌、黄色ブドウ球菌)のバイオフィルムに対する殺菌効果について試験した。また、さまざまな素材の環境表面がコロニーやバイオフィルムの形成に関連することを考慮し、4つの異なる環境表面(ポリカーボネート、ゴム、ステンレス、セラミック)に形成させた大腸菌バイオフィルムに対する殺菌効果について比較した。 その結果、4つの菌種を対象とした殺菌効果の試験では、3秒間の蒸気洗浄により4つの菌種のバイオフィルム全てが急速に殺菌された(殺菌効果は99.95%以上)。また、異なる環境表面での殺菌効果の比較においても、3秒間の蒸気洗浄により4つの環境表面全てにおいて99.95%以上の大腸菌バイオフィルムを殺菌できたことが確認された。化学消毒薬を用いた手法と比較すると、1秒未満の蒸気洗浄によるバイオフィルムの殺菌効果と、次亜塩素酸ナトリウム溶液(10ppm)への10~20分間の浸漬による効果とが同程度であることが確認された。 本研究より、TANCSを装備した蒸気殺菌システムは、医療施設などの環境表面に形成されるバイオフィルムの殺菌に対して、効果的かつ実用的な手法であることが認められた。

(訳:橋倉万由子、木津純子)

Carlisle Vol.18 No.2 p8-10 Summer 2013

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