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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.18 No.3 Autumn 2013

2% CHG含有クロスを用いた入浴の手術部位感染防止効果

Graling PR, Vasaly FW
Effectiveness of 2% CHG Cloth Bathing for Reducing Surgical Site Infections.
AORN J 2013;97:547-551.

医療関連感染は医療スタッフ、来院者、保険会社のあいだに関わる重要な事項である。手術部位感染(SSI)は手術を受ける入院患者の2~5%に発生し、毎年、米国では約50万人の患者がSSIを発症し、感染に起因する合併症によりSSIのコストは平均3,000-29,000ドルと評価されている。1999年CDCのSSIガイドラインの中で感染に関連した全診療の14~16%がSSIとの報告もある。また、クロルヘキシジングルコン酸塩(CHG)の使用によって菌数が初期の1/9に減少し、皮膚の消毒持続効果があったと報告している。さらに、CHG含有クロスで集中治療室の患者を毎日清拭したところ一次性の血流感染が減少したことも報告されている。
これらの事実に基づいて、われわれの施設の手術チームは、この事実を検証するためCHGを皮膚に適用することで、手術患者の内因性細菌叢およびSSIを減少できるとの仮説を立てた。そこで、SSIを減少させるため術前にCHG入浴の効果についてプロスペクティブ・コホート研究を行った。
われわれの病院には一般手術や血管手術の標準的術前処置のレジメがなく、入院前に4%CHGで2回のシャワーが実施されているが、それを評価する方法はない。病院施設委員会の承認を得て、4ヵ月間、手術のために入院した生後2ヵ月以下を除く全患者を対象に、2%CHG含有クロスを用いた入浴を実施するよう変更した。無処置群の患者について無作為抽出はできないため病歴管理からコホートで確認された手術患者のSSIに関連した罹患率と入院期間を調査した。
一般手術あるいは血管手術を実施する患者の基礎データは、手術部で得られたデータベースから国際外科品質改善プログラム(National Surgical Quality Improvement Program;NSQIP)より入手した。全ての患者が2%CHG含有クロス入浴を受けた。NSQIP看護データ作成者は、NSQIP包括基準に従って無作為に週当たりの一般手術と血管手術の40例を選び、30日間の追跡でこれらの患者が感染したか否かを決めるために使用した。
また、術前にCHG入浴を受けた患者と受けない患者の感染率を比較するため、公共のNSQIPデータベースからの感染データを使用した。SSIの決定はCDCの手術定義を使用して作成された。決められた期間にCHG入浴を受けた335人の患者、非CHG入浴の患者284人を分析した。
その結果、一般手術のSSIはCHG入浴群で2.2%、非CHG入浴群で5.1%、血管手術のSSIはCHG入浴群で1.6%、非CHG入浴群で12.0%であった。2% CHG含有クロス入浴群で有意な感染の減少が認められた。内訳としては術後の深層部切開部感染がCHG入浴群で0.6%、非CHG入浴群で0.35%と増加したが、その他、術後の浅層部切開部感染はCHG入浴群で1.2%、非CHG入浴群で2.8%、術後切開部感染はCHG入浴群で0%、非CHG入浴群で1.4%であった。以上より、術前の2% CHG含有クロス入浴はSSIの減少に役立つものと考えられる。

(訳:白石 正)

Carlisle Vol.18 No.3 p8-10 Autumn 2013

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