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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.18 No.3 Autumn 2013

小児重篤患者におけるクロルヘキシジン浴による菌血症減少:多施設クラスター無作為化交差試験

critically ill children:a multicentre, cluster-randomised,crossover trial. Lancet 2013;381:1099-1106.

入院中の小児は、成人より血流感染症率が高い。菌血症は重篤な小児患者において罹患および死亡の重大な原因となる。2008年2月~2010年9月に、米国の5病院の10小児ICU病棟において、クロルヘキシジン浴の菌血症減少効果を標準浴と比較するため、2期のクロスオーバー試験を行った。病棟毎に標準浴(石けんと水)またはクロルヘキシジン浴(2%クロルヘキシジン含浸布使用)を6ヵ月間行い、2週間のウオッシュアウト期間後、次の6ヵ月間は入浴法を交代した。FDAでは生後2ヵ月未満の乳児にはクロルヘキシジンを承認していないので、生後2ヵ月以上の患者4,947人を対象とした。 Intention-to-treat(ITT)解析(4,947人)では、菌血症発現率はクロルヘキシジン浴(3.52/1000日、95%信頼区間2.64-4.61)と標準浴(4.93/1000日、95%信頼区間3.91-6.15)で有意差は認められなかった(調整発現率比0.71、95%信頼区間0.42-1.20)。 クロルヘキシジン浴群では保護者の拒否等があり、合計4,072人の患者でper-protocol(PP)解析を行った。PP解析では、クロルヘキシジン浴(3.28/1000日、95%信頼区間2.27-4.58)は標準浴(4.93/1000日、95%信頼区間3.91-6.15)に比較し、36%の菌血症減少が認められた(調整発現率比0.64、95%信頼区間0.42-0.98)。ICU死亡率は標準浴群3.49%で、クロルヘキシジン浴群2.59%(絶対差0.90%、95%信頼区間0.17-1.97、p=0.1104)であった。PP解析では菌血症の68%はグラム陽性菌が原因であり、47%はコアグラーゼ陰性ブドウ球菌、9%は腸球菌であった。グラム陽性菌による菌血症は、クロルヘキシジン浴で標準浴より46%低かった(1.93/1000日と3.56/ 1000日、発現率比0.54、95%信頼区間0.31-0.91)。グラム陰性菌や真菌では、差は認められなかった。調査期間中、重篤な副作用は認められず、クロルヘキシジンに関連する皮膚反応は1.2/1000日(95%信頼区間0.60-2.02)であった。

(訳:豊口禎子)

Carlisle Vol.18 No.3 8-10 Autumn 2013

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