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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.18 No.3 Autumn 2013

擦式アルコール製剤に含有されるエタノールの経肺吸収の評価

Hautemaniere A, Ahmed-Lecheheb D, Cunat L, et al
Assessment of transpulmonary absorption of ethanol from alcohol-based hand rub. Am J Infect Control 2013;41:e15-19.

擦式アルコール製剤は、病院感染の発生や感染伝播の予防に重要とされ、医療施設でも広く使用されている。一方で、擦式アルコール製剤の使用により、含有するエタノールの経肺吸入および経皮吸収や、長期的な曝露により副作用を発現する可能性が指摘されてきた。そこで、本研究では、医療従事者による擦式アルコール製剤の使用に着目し、これらの製剤に含有されるエタノールの経肺吸収に対する評価を行った。
試験は、フランスのNancy University Hospitalに勤務する26名の医療従事者を対象として実施し、4時間の勤務シフト中のエタノールへの曝露をモニタリングした。なお、呼気中のエタノール濃度の測定にはclass B ethylometer(Alco-Sensor FST)を、吸気中のエタノール濃度の測定にはGilian pump LFS-113を用いた。また、エタノール、アセトアルデヒド、酢酸の血中および尿中濃度は、水素炎イオン化検出器付きガスクロマトグラフィーを用いて測定した。
被検者の男女比は男性12%、女性88%、平均年齢は40±8歳で、勤務シフト開始前の測定で血中、尿中、呼気中からエタノールやその代謝物が検出された者はいなかった。
モニタリングの結果、勤務シフト終了後の血中および尿中のエタノール濃度測定では、いずれの被検者からもエタノールやその代謝物は検出されなかった。呼気測定では、勤務シフト終了1~2分後では10名の被検者の呼気からエタノールが検出されたが(0.08±0.07mg/L)、10~15分後にはその値は全ての被検者で0mg/Lとなった。また、吸気中エタノールの平均濃度は46.2mg/m3であり、吸気中エタノール濃度と擦式アルコール製剤の使用量との間には相関性が見られた。
今回の結果より、勤務シフト中の擦式アルコール製剤使用による含有エタノールの経肺吸収は観察されなかった。また、4時間の勤務シフト中に吸入されるエタノールガス量は、政府のガイドラインが定める労働環境中のエタノール曝露制限量に比べ十分に低い値であることが確認された。

(訳:橋倉万由子、木津純子)

Carlisle Vol.18 No.3 p8-10 Autumn 2013

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