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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.18 No.3 Autumn 2013

軟性消化器内視鏡の清浄度の評価指標としてのアデノシン三リン酸(ATP)、微生物量、残存タンパク量の比較

Fushimi R, Takashina M, Yoshikawa H, et al.
Comparison of adenosine triphosphate, microbiological load, and residual protein as indicators for assessing the cleanliness of flexible gastrointestinal endoscopes. Am J Infect Control 2013;41:161-164.

消化器内視鏡は消化器癌や消化性潰瘍などの診断や検査に広く使われており、大阪大学病院でも年間7,000件ほどの消化器内視鏡検査が行われている。本研究では、消化器内視鏡の清浄度の評価指標として、アデノシン三リン酸(ATP)、微生物量および残存タンパク量の3つを比較し、臨床現場において最も有用な清浄度の評価指標について検討した。 試験は、大阪大学病院にて41名の患者に使用された消化器内視鏡を用いて実施した。使用後の消化器内視鏡の洗浄前後に採取した内視鏡外側表面のスワブおよび吸引/付属チャンネル内部のすすぎ液から、ATPレベルおよび微生物量を測定した。同様に、洗浄前後に採取した吸引/付属チャンネル内部のすすぎ液から、残存タンパク量レベルを測定した。 その結果、洗浄前後のATPレベルは、内視鏡外側表面では10,417相対発光量(RLU)から82RLUに減少(p=0.012)、吸引/付属チャンネル内部のすすぎ液では30,281RLUから104RLUに減少し(p=0.011)、いずれも統計的に有意な減少を示した。また、洗浄前後の微生物量も、内視鏡外側表面では5,143CFUから1CFUに減少(p=0.001)、吸引/付属チャンネル内部のすすぎ液では95,827 CFUから14CFUに減少し(p=0.001)、ATPレベルと同様に統計的に有意な減少を示した。また、ATPレベルと微生物コロニー数の変化には相関性が観察された。一方で、吸引/付属チャンネル内部のすすぎ液の残存タンパク量レベルについては、洗浄前後で36μgから20μgに減少したが、統計的に有意な差はみられなかった(p=0.078)。 3つの評価指標の比較から、ATPレベルと微生物量の2つが内視鏡の清浄度の評価に有用であることが示された。しかし、微生物コロニー数の測定は24時間の培養時間を要することから、実務的かつリアルタイムの評価指標としてはATPレベルの方が優れていると考えられる。以上より、ATPレベルの測定は、臨床現場での日常的なモニタリングにおいて、信頼性が高く、迅速かつ実用的な内視鏡清浄度の評価を可能にすると考える。

(訳:橋倉万由子、木津純子)

Carlisle Vol.18 No.3 p8-10 Autumn 2013

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