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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.18 No.3 Autumn 2013

医療関連感染防止対策の実践を支えるエビデンスの強さの認識について:感染制御担当者への全国調査から

Saint S, Greene MT, Olmsted RN, et al.
Perceived strength of evidence supporting practices to prevent health care-associated infection:Results from a national survey of infection prevention personnel. Am J Infect Control 2013;41:100-106.

臨床医や政策立案者が自施設の医療関連感染予防対策を決定に使用されるガイドライン、システマティックレビュー、メタアナリシス、その他エビデンスに基づく勧告があり、それらの有用な情報が、第一線の臨床家にどのように受け取られているかが重要である。そこで、感染制御対策のエビデンスの強さの認識を知り、さらにCIC(certification in infection prevention and control)の活動がエビデンスの強さの認識に関連するかを特定する目的で調査を行った。
2009年3月に586の非連邦病院と117の退役軍人病院に、Dillman approach1)変法により手紙での調査を3回実施(2回目は1回目で回答のない対象施設に4週間後再郵送。3回目は最初の2回の回答率が低かったため追加で郵送)した。
調査内容は、出版されているガイドラインやCDCガイドラインで推奨されている一般的な感染対策、CAUTI、CLABSI**、VAP***予防対策(急性期病院の成人対象)で、エビデンスの強さを1~5(エビデンスなし:1、最も強い:5)とし、5、4が強い、4、3が適度、2、1が弱いエビデンスとして分類した。対象施設条件として、施設全体で感染対策に取り組んでいるか、常勤の感染制御担当者の数とCICの有無、そのポジションでの在職年数が調査された。
結果、回答病院数478(回収率68%)、CIC平均在職率は64%、72%が施設全体で感染対策に取り組んでいると回答。現職での平均在職年数は9.6年、平均常勤数は1.8人、平均ベッド数は268床であった。それぞれのエビデンスの強さの認識は、一般的感染対策ではほぼすべてがアルコール手指消毒に強いエビデンスがあると回答し、次に97%がAntimicrobial Stewardship 2)が強いかまたは適度なエビデンスがあると回答した。MRSA防止対策は適度なエビデンスがあると回答した。CAUTI防止対策で最もエビデンスが強いと回答したのは無菌的挿入テクニックで、次はカテーテル抜去と看護師主導のカテーテル抜去プロトコル、そして膀胱超音波や間欠導尿だった。さらには、男性におけるコンドーム型カテーテルやシルバーコーティングカテーテルもエビデンスが強いとの回答が多かった。CLABSI防止対策では90%以上が挿入時皮膚消毒にCHGの使用、MBP、挿入部位に鼠径部を避ける、が強いエビデンスがあると回答し、CHG含有スポンジドレッシングは適度なエビデンスと回答した。VAP防止対策ではセミファーラー位が最も強いエビデンスがあると回答し、次が鎮静解除、次には抗菌薬口腔ケア、そして声門下ドレナージだった。
一方、CICの活動とエビデンスの強さの認識についての多変量解析で有意に関連があったのは、一般的感染対策ではAntimicrobial Stewardship Program(p=0.02)、CAUTI対策では看護師主導のカテーテル抜去プロトコル(p=0.01)、VAP対策では鎮静解除(p=0.01)が強いエビデンスとして関連があった。一方、CLABSI対策では定期的なカテーテル交換(p=0.001)、VAP対策は振動とベッド上運動と抗菌薬口腔ケア(p=0.03)が弱いエビデンスとして関連があった。
まとめとして、実践者はエビデンスの強さだけではなく、どのようにエビデンスが臨床現場で認識されているかに焦点を当てるべきであり、ガイドラインの開発者はタイムリーに新しいエビデンスに応じた勧告の変更を検討すべきである。

*CAUTI:catheter-associated urinary tract infection
**CLABSI:central line-associated bloodstream infection
***VAP:ventilator-associated pneumonia

1)Don A. Dillman:The Design and Administration of Mail Surveys. Annu Rev Sociol 1991;17:225-249.
2)Johns Hopkins Antimicrobial Stewardship Program

(訳:菅原えりさ)

Carlisle Vol.18 No.3 p8-10 Autumn 2013

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