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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.18 No.3 Autumn 2013

血液腫瘍患者におけるVRE保菌者発生低減のためのクロルヘキシジン含浸クロスの効果

Bass P, Kark S, Rhodes D, et al.
Impact of chlorhexidine-impregnated washcloths on reducing incidence of vancomycin-resistant enterococci colonization in hematology-oncology patients. Am J Infect Control 2013;41:345-348.

メルボルンの病院では、VRE保菌率が増加し続け、免疫不全患者の多くが保菌者となり、または感染症を引き起こしている。いくつかの文献によると、グルコン酸クロルヘキシジン(CHG)の定期的な使用はVRE獲得を低減させると報告した。そこで今回、血液腫瘍患者の毎日の清拭に2%CHG含浸クロスを使用し、その効果を評価した。
対象はメルボルンにある427床の急性期病院の血液腫瘍病棟(34床)で、対象患者に骨髄移植患者も含まれた。期間は2010年3月~6月をベースライン期、同年7月~10月を介入期とした。
介入期間中は自立患者には2%CHGクロスをそのまま使用するか、石けんとシャワー浴後に使用するよう指導した。希望すればクロスは電子レンジで温められた。使用方法は製造元の指示に従い、4枚のクロスの1枚目は顔(目は避ける)、首、両腕、2枚目は腋下、胸、背中、3枚目は足、そして4枚目は陰部に使用するよう指導した。開放創患者とCHGアレルギー患者は除外された。VRE検査(スワブによる直腸検査)は入院時とその後週1回実施された。また、以前にVRE陽性患者が使用していた同じベッドを使用した患者のVRE陽性獲得状況と、入院後にVRE陽性と判明した患者と同室患者のVRE陽性獲得状況も調べられた。
結果、ベースライン期229名中18名(7.86%)がVRE陽性になったのに対し、介入期は210名中8名(3.81%)(相対リスク0.48 95%信頼区間0.21-1.09 p=0.07)で統計学的な有意差はなかった。また、VRE陽性患者と同室だった患者は、以前VRE陽性患者が使用していたベッドを使用した患者より、VRE獲得率が高いことがわかった(相対リスク18.8、95%信頼区間5.37-66.15、p<0.001)。
まとめとして、今回の研究では2%CHG含浸クロスの効果に統計学的な有意差は認められなかった。しかし、他の同規模の研究で効果が示されていることから、われわれが対象とした集団でVRE陽性者が減少したことは、CHG含浸クロスの効果を示していると考えている。今後は更にICU以外の集団を対象とした研究が必要であると考えられる。

(訳:菅原えりさ)

Carlisle Vol.18 No.3 p8-10 Autumn 2013

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