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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.18 No.4 Winter 2014

クロルヘキシジンとムピロシンでMRSAによる手術部位感染を低減させる

Thompson P, Houston S
Decreasing methicillin-resistant Staphylococcus aureus surgical site infections with chlorhexidine and mupirocin. Am J Inf Control 2013;41:629-633.

手術部位感染(SSI)の原因菌は、NH SN(National Health Safety Network)の2006~2007年のデータでは15%がMRSAだった。CDCはSSI防止に、抗菌剤〔クロルヘキシジン(CHG)〕でのシャワー浴や清拭を推奨している。
米国フロリダのタンパ病院のICTは、MRSAに関連したSSI対策についてエビデンスとなる対策を調べた結果、ムピロシンの鼻腔塗布とCHGによる皮膚の準備が効果的であると判断した。そこで2006年より心臓外科、整形外科、血管外科、脳外科の患者にこの二つの対策を実施したところ、有意にSSIが低下した。そこで、ムピロシンとCHGの対策についてのさらなる検証を加えるために、2006~2008年の各年をケースとしたケースコントロールスタディを実施した。
方法:4つの診療科の患者に、手術前日からムピロシンを鼻腔に1日2回塗布し、2%CHG含有クロスによる清拭を開始した。この対策は手術当日から術後3日目まで継続され、もし途中退院の場合は、ムピロシンのみ自宅で実施してもらった。また、CHGは顎から上は使用しないため、開頭術患者とムピロシンやCHGにアレルギーのある患者および18歳以下は除外とした。
結果:2006年4診療科全体の対象患者9,976名中MRSAが原因菌のSSI患者は39名で、発生率0.39だった。2007年は9,818名中20名で発生率0.20(p=0.016;オッズ比1.92 95%信頼区間:1.92-3.42)で、2006年との比較において有意に低下した。2008年は10,068名中13名で発生率0.13(p=0.0003;オッズ比3.04 95%信頼区間:3.04-5.98)で、2007年との比較において有意に低下した。
考察:手術患者のムピロシンの鼻腔塗布と2%CHG含有クロスでの清拭をする5日間コースは、MRSAを原因菌とするSSI予防に効果的であった。しかし、前向き無作為試験でこのプロトコールを検証する必要がある。

(訳:菅原 えりさ)

Carlisle Vol.18 No.4 p8-10 Winter 2014

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