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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Review

ICU退室後における抗菌薬耐性菌の保菌持続期間

Haverkate MR, Derde LG, Brun-Buisson C, et al.
Duration of colonization with antimicrobial-resistant bacteria after ICU discharge. Intensive Care Med 2014;40:564-571.

医療施設における感染対策の大きな負担は、抗菌薬耐性菌(AMRB)の蔓延が含まれ、AMRB保菌患者の再入院は、AMRBによる院内感染の重要な因子となる。そこで、われわれは高度耐性エンテロバクター(HRE)、多剤耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)が検出されたICUから退室した患者の保菌持続期間を評価した。本研究はヨーロッパ8カ国(フランス、ギリシャ、イタリア、ラトビア、ルクセンブルグ、ポルトガル、スロベニア、スペイン)、13のICUで集団ランダマイズトライアルを実施、2008年5月~2011年4月までのデータを前向きに収集した。
研究の第1期は6ヵ月のサーベイランス、第2期はクロルヘキシジンによる手指衛生改善プログラム、第3期では13~26ヵ月の間にICU入室時のスクリーニングテストを実施、また、AMRB保菌に対するスクリーニングサーベイランスの実施、以上3段階の計画を立てた。研究期間中に2日以上ICUに入室したすべての患者は、入院時から週2回、HRE、MRSA、VREのスクリーニングを実施した。最初に入院した期間中に少なくとも2回のうち1回の培養でHRE、MRSA、VREの保菌または同じICUに1回入院した患者が対象となった。再入院時に、もし培養の1つが陽性、保菌なし、培養2つが陰性ならば2回培養の有効性と保菌患者の分析を行った。MRSAの拭き取りは鼻前庭、HRE、VREは会陰部から拭きとった。これらの菌が患者から検出されたならば創部も拭き取った。
MOSAR-ICUトライアルは14,390人の患者が対象となり、少なくとも3日間入院した8,974人の患者から合計64,997の培養を得た。2,111人の入院患者のうち1回再入院したのは926人であった。このうち125人は最初の入院で2回培養して1回からAMRBが検出された保菌者であった。すべてのAMRBを分析した結果、141人がAMRB保菌者で、少なくとも1回の再入院歴があった。32人は2種あるいはそれ以上のAMRBを保菌し、HREは101例、MRSAは48例、VREは19例であった。保菌解除の中間期間はすべてのAMRBで4.8ヵ月、HREでは1.4ヵ月、VREは1.5ヵ月で、残存曲線の間に有意差はなかった。患者の50%はICU退室後2ヵ月以上ののちに再入院したときには保菌者でなくなっている。

(訳:白石 正)

Carlisle Vol.19 No.3 p8-10 Autmun 2014

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