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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Review

救急病院でのMRSA保菌期間に関する疫学研究

Rogers C, Sharma A, Rimland D, et al.
Duration of colonization with methicillin-resistant Staphylococcus aureus in an acute care facility:A study to assess epidemiologic features. Am J Infect Control 2014;42:249-253.

MRSAによるコロニー形成歴や感染歴がある入院患者のなかには、その後の再入院時にもコロニーを保持したままのケースがしばしばあると考えられている。そのため、病院ではMRSA陽性患者を特定し、これらの患者を入院時から接触隔離するとともに、必要に応じて経験的治療や抗菌薬の予防投与を実施している。本研究では、退院患者のMRSA保菌期間やコロニー形成に関連する因子を検討するためのコホート研究を行った。 試験は、2007年10月1日~2009年7月31日までにAtlanta Veterans Affairs Medical Center(病床数128床の救急病院)に入院した患者を対象とした。対象患者からコホートA、B、Cの3群(コホート A;入院中にMRSA感染症を発症し、かつ退院時の鼻腔スワブがMRSA陽性だった患者、コホート B;入院中にMRSA感染症を発症したが、退院時の鼻腔スワブは陰性だった患者、コホート C;入院中のMRSA感染症の発症はないが、退院時の鼻腔スワブは陽性だった患者)に分類される患者を抽出し、追跡調査を行った。調査では、対象患者の年齢や性別等の人口学的特徴や、基礎疾患、感染症既往歴、抗微生物薬使用歴に関する情報を収集した。また、退院患者が自宅で採取した鼻腔スワブを収集した。これらのデータを基に、ハザード比を用いてコホートA、B、Cを比較した。 結果、鼻腔スワブ231検体が採取された(コホート A;23検体、コホート B;34検体、コホート C;174検体)。スワブを得た231名のうちMRSAコロニーが確認されたのは92名(39.9%)、保菌期間の中央値は33.3ヵ月であった。統計解析の結果、持続的な保菌の関連因子として2つの因子が確認された。1つ目は、試験開始以前の総入院期間の長さであった。また、2つ目として、コホート Aの患者はコホート B、Cに比べて長い保菌期間であることが認められた(p<0.001)。 MRSA感染および保菌の両方が確認されたコホートAの保菌期間が長かったことから、感染成立や保菌に寄与する初期接種菌量が持続的な保菌の重要因子である可能性が示唆された。

(訳:橋倉万由子、木津純子)

Carlisle Vol.19 No.3 p8-10 Autmun 2014

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