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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.19 No.3 Autumn 2014

血液内科における中心静脈カテーテル長期留置患者挿入部消毒の前向き研究:
1%クロルヘキシジンアルコールと10%ポビドンヨードの比較

Yamamoto N, Kimura H, Misao H, et al.
Efficacy of 1.0% chlorhexidine-gluconate ethanol compared with 10% povidone-iodine for long-term central venous catheter care in hematology departments:a prospective study.
Am J Infect Control 2014;42:574-576.

クロルヘキシジンアルコールの皮膚消毒効果について、福島医科大学病院および北福島医療センターの血液内科病棟で平成20年11月から平成22年6月まで前向き臨床研究を行った。血液疾患加療が必要となった成人患者において中心静脈カテーテル(CVC)を新たに挿入する患者を対象とし、CVC挿入部の消毒を1%クロルヘキシジンアルコール(1%CHG-EtOH)群、10%ポビドンヨード(10%PVP-I)群の2群に分けた。CVC挿入の際は各群でマキシマルバリアプリコーション下の消毒処置を行い、以後週1回以上のドレッシング交換(消毒)直前に皮膚擦過培養を提出した。National Healthcare Safety Network:NHSNの基準1)による血流感染(BSI)陽性率および皮膚擦過培養陽性率(SCR)の2点を評価し解析した。
総計565回(総入院患者84人、総CVC数107本)に皮膚擦過培養を行った。2群間の患者・血液疾患背景、CVC挿入部位(内径、鎖骨下、鼠径)、カテーテル挿入日数平均(両群ともに約45日)などに統計学的な差は認められなかった。BSI陽性率は0.75(/1000 catheter days)(1% CHG-EtOH)対3.62(10%PVP-I)であり、1%CHG-EtOH群で有意に低値であった(相対リスク0.21、p=0.04)。SCRは3.6%(1%CHG-EtOH)対17.4%(10%PVP-I)であり、1%CHG-EtOH群でやはり低値であった(相対リスク0.207、p<0.01)。いずれの群においても皮膚の過敏反応や刺激性、その他の有害事象を認めなかった。皮膚擦過培養陽性となった細菌は、いずれの群においてもその9割がブドウ球菌属であった。
血液内科のCVC挿入期間は集中治療室(ICU2))や救急治療室(ER)に比べ極めて長期間である。また血液疾患の治療中には粘膜免疫が著しく減弱し、さまざまな感染症に脆弱となるため、CVCに対する長期の衛生管理が生命線となる。このような医療環境の中で検討された今回の前向き臨床研究の結果から、1%CHG-EtOH製剤で重篤な副反応は認められず、10%PVP-Iに比べ、BSI発生率と皮膚擦過培養陽性率(CVC挿入部の皮膚汚染率)に、統計学的にも優れた抑止効果が検証された。
1)Guerin K, Wagner J, Rains K, Bessesen M:Am J Infect Control 2010;38:430-433.
2)Pronovost P, Needham D, Berenholtz S, Sinopoli D, Chu H, Cosgrove S, et al. :N Engl J Med 2006;355:2725-2732.

(訳:山本夏男)

Carlisle Vol.19 No.3 p8-10 Autmun 2014

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