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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.19 No.3 Autumn 2014

患者を観察者としたアプローチ:外来部門における手指衛生監視方法 

Le-Abuyen S, Ng MSc J, Kim S, et al.
Patient-as-Observer Approach:An alternative method for hand hygiene auditing in an ambulatory care setting.
Am J Infect Control 2014;42:439-442.

WHOが推奨する手指衛生向上のための戦略として、独立した観察者による直接観察法がある。この方法は急性期病棟などで行われることが多いが、外来部門では業務の中断、プライバシーの懸念、ホーソン効果などの課題があるため行われにくい。そこで、これらの課題を克服するため、Bittleら1)が提案した「患者を観察者としたアプローチ」を実施してみた。
調査施設は、カナダのオンタリオにあるFamily Practice Health Centre (FPHC)。当該施設の自主的な医療従事者によりワーキンググループが立ち上がり、調査の範囲、調査ツールの開発、協力スタッフについて、評価方法などが話し合われた。
データ収集は2012年8月~2013年6月に行われた。朝、調査カードは、訓練されたボランティアチームによりFPHCのすべての患者に配布され、興味を持った患者が参加した。参加者(匿名)には医療従事者が患者接触前に手指衛生を実施しているかどうかを観察し、カードにチェックした上で回収ボックスに入れるよう説明した。回収されたカードは集計され、定期的にフィードバックされた。
この調査の評価としては、患者の観察の精度/評価者間の信頼性は、患者と看護師の監視カードをマッチングさせ、そのデータの比較で検討された。すなわち、ボランティアが患者監視カード番号と患者識別(例:メガネの使用や服の色)を記録した看護師調査者用監視カードを作成し、手指衛生の直接観察法を訓練された看護師がそのカードにより、調査員である患者を識別し、その患者に知られないように診察室内の医療従事者の手指衛生遵守状況を記録した。
結果、監視カードの回収率は75.1%(n=381/507)。患者接触前の手指消毒の遵守率は96.8%(n=424/438)。患者と看護師のデータは、86.7%(n=26/30)が一致したことで、患者が収集したデータは手指衛生向上のために使用することができると判断できた。
まとめとして、今回の患者を観察者としたアプローチは、実用的で、正確で、費用対効果の高い方法であり、患者の安全と質改善の継続的な取り組みが必要とされる現在、患者自身が積極的な役割を果たせる「患者を観察者にしたアプローチ」は、有望なツールとなると考えられた。

1)Bittle MJ, LaMarche S:Engaging the patient as observer to promote hand hygiene compliance in ambulatory care. Jt Comm J Qual Patient Saf 2009;35:519-525.

(訳:菅原えりさ)

Carlisle Vol.19 No.3 p8-10 Autmun 2014

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