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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Review

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染予防におけるムピロシン/クロルヘキシジン:挿管患者の感染制御に対するムピロシン/クロルヘキシジンとポリミキシン/トブラマイシンのプラセボ対象ランダム化試験事後解析

Camus C, Sebille V, Legras A, et al.
Mupirocin/chlorhexidine to prevent methicillin-resistant Staphylococcus aureus infections:post hoc analysis of a placebo-controlled, randomized trial using mupirocin/chlorhexidine and polymyxin/tobramycin for the prevention of acquired infections in intubated patients. Infection 2014;42:493-502.

2010年フランスの調査では、集中治療室のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)発生率は、全体の発生率の3倍であることが報告されている。さらに、集中治療室の挿管患者では、MRSA保菌や感染が8倍高いとも報告されている。しかし、挿管患者において、ムピロシン/クロルヘキシジン(M/C)除菌療法によるMRSA感染減少に関する研究はあまり行われていない。今回の調査では、M/C療法のMRSA感染や保菌に与える影響を評価することを目的に事後解析を行った。
1996年4月から1999年6月にかけて、フランスの3つの大学病院の集中治療室で、多施設プラセボ対象ランダム化二重盲検試験を行った。ポリミキシン/トブラマイシン(P/T)6時間毎局所投与療法と2%ムピロシン軟膏鼻腔内投与/4%クロルヘキシジン石けん(M/C)療法の2つの療法と、各々のプラセボで2×2要因解析を行った。対象は集中治療室入院中の挿管を受けた患者515人で、P/T療法患者130人、M/C療法患者130人、P/T療法とM/C療法併用患者129人、およびプラセボ患者126人であり、挿管期間とその後の24時間にわたりMRSA感染率が調査された。
2つの療法でMRSA感染率に統計学的有意差は認められなかったため、M/C療法群(259人)とM/C療法を受けなかった群(256人)、およびP/T療法群(259人)とP/T療法を受けなかった群(256人)で比較を行った。M/C療法群では、M/C療法を受けなかった群に比較し、MRSA感染発生率(患者比率、オッズ比0.39、95%信頼区間0.16-0.96、p=0.04)および1,000日当たりのMRSA感染発生率(発生率比0.41、95%信頼区間0.17-0.97、p=0.05)は有意に低かった。一方、P/T療法群では、P/T療法を受けなかった群に比較し、MRSA感染発生率(オッズ比2.50、95%信頼区間1.01-6.15、p=0.05)と1,000日当たりのMRSA感染発生率(発生率比2.90、95%信頼区間1.20-8.03、p=0.03)は有意に高かった。
本研究より、挿管患者においてM/C療法が有意にMRSA感染を減少することが示された。

(訳:豊口禎子)

Carlisle Vol.19 No.4 p8-10 Winter 2015

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