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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.19 No.4 Winter 2015

オーストラリアにおける院内発症の黄色ブドウ球菌菌血症の大幅な減少―12年間の観察研究

Mitchell BG, Collignon PJ, McCann R, et al.
A Major Reduction in Hospital-Onset Staphylococcus aureus Bacteremia in Australia-12 Years of Progress:An Observational Study.
Clin Infect Dis 2014;59:969-975.

黄色ブドウ球菌菌血症(Staphylococcus aureus bacteremia:SAB)は、発症した患者の20~50%を死亡に至らしめる深刻な感染症である。本研究では、オーストラリアの病院で実施した12年間の縦断研究を通して、院内発症SABの大幅な減少について評価した。
試験デザインは観察的コホート研究とし、国内132ヵ所の病院にて院内発症SABと診断された全ての患者からデータ収集を行った。なお、対象患者の定義は、「入院後48時間以上が経過した患者で、1つ以上の血液培養で黄色ブドウ球菌陽性が確認された患者」とした。また、一次アウトカムは、MRSAおよびMSSAを含む黄色ブドウ球菌による院内発症SABの発症率とした。
結果、12年間で2,733例の院内発症SABの症例が確認された。試験期間全体の発症率は10,000患者入院日数あたり0.90であった(95%信頼区間[CI]:0.86-0.93)。年間の発症率は、2002年は10,000患者入院日数あたり1.72(95%CI:1.50-1.97)であったが、2013年には0.64(95%CI:0.53-0.76)となり、試験期間を通して63%の減少を示した。また、2002年から2013年までの各年の平均減少率は9.4%だった(95%CI:-8.1% to -10.7 %)。院内発症SABの大幅な減少は、MRSAおよびMSSAの両方で確認された(MRSAでは10,000患者入院日数あたり0.77から0.18へと減少、MSSAでは1.71から0.64へと減少した)。
2002年以降、オーストラリアの病院ではMRSAおよびMSSAが原因の院内発症SABの発症率は、大幅かつ顕著に減少してきた。この減少は、同時期に実施された感染予防対策や感染制御の取り組みの導入と一致する。この結果から、国全体や地域で実施された医療関連感染の減少に向けた取り組みが成功してきたことが示唆された。

(訳:橋倉万由子、木津純子)

Carlisle Vol.19 No.4 p8-10 Winter 2015

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