Y's Square:病院感染、院内感染対策学術情報 > 感染対策学術情報 > 医療関連感染対策情報季刊誌より(Carlisle) > Review > 毎日のクロルヘキシジン清拭-グラム陰性菌を原因とする医療関連感染の影響
Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
vol.20 No.4 2016

毎日のクロルヘキシジン清拭-グラム陰性菌を原因とする医療関連感染の影響

Cassir N, Thomas G, Hraiech S, et al.
Chlorhexidine daily bathing:Impact on health care-associated infections caused by gram-negative bacteria.
Am J Infect Control 2015;43:640-643.

医療関連感染(HAI)はICUの患者の約30%に影響を及ぼし、罹患率、死亡率、コスト増加に関連すると言われている。米国ではICU患者の血流感染と血液培養汚染に関連したグラム陽性菌の研究がなされている。そこで、本研究はフランスのICUでこれらの起炎菌が毎日のクロルヘキシジン(CHG)清拭によってHAIの発生率に影響を及ぼすかを評価した。フランスNord大学病院(856床)のICUを対象に2012年3月~2013年5月を6カ月の2期に分け、ICUに入室して微生物検査結果で少なくとも1回敗血症を疑った患者および研究期間にICUに転送された患者325名を対象とした。これを介入群と対照群の2つに分けて、介入群は毎日CHGで清拭し(n=150)、対照群は石けんと水で洗浄した(n=175)。これを2期に分けて実施した。主要評価項目は、医療関連血流感染(HA-BSIs)、人工呼吸器関連感染(VAP)、尿路感染(UTIs)を含めた医療関連感染(HAI)の発生数とし、副次評価項目を菌種別の培養陽性率(陽性数/1,000患者日)とした。両群間にICUにおける人工呼吸器使用期間、入室の期間、死亡数に相違は示さなかった。2%CHG含有クロスで毎日清拭した介入群では、HAIの発生数が有意に減少した(介入群29名:対照群59名)。介入群と対照群の相違は、HAI、カテーテル感染、VAP、UTIの発生数でも有意であった。石けんと水による対照群ではHAIのリスクは有意に増加した(OR=1.993;95% CI、1.132-3.508、p=0.017)。腸内細菌科細菌および非発酵桿菌を含むグラム陰性菌(GNB)の培養陽性率は、介入群で減少した(RR=0.588;95% CI、0.346-0.978、p=0.04)。また、グラム陽性菌に対する培養陽性率は両群間に相違は認められなかった。さらにGNBとグラム陽性菌の割合は2つの研究期間で有意差を示さなかった(62.85%、69.35%)。これより日常のCHGによる皮膚清拭はGNBを減少させ、皮膚由来のHAIを減少させるものと考える。

(訳:白石 正)

Carlisle Vol.20 No.4 p8-10 2016

関連サイト